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六本木マウンテン(LLP)代表 六本木 勇治(前橋市千代田町3丁目)

【略歴】2001年に渡仏、3年半ファッションや文化を体験。フランス生まれの「世界のCMフェスティバル in GUNMA」プロデューサー。06年8月から現職。




地域文化

◎人材流出に歯止めを
 本年度に入りまして、光栄にも県立女子大の「芸術プログラム2008〜芸術の現場へ2」という授業の講師に選んでいただきました。このチャンスは自分が考える地域貢献の最たるものの一つで、自分にも貴重な経験になると思い、週に一度ですが担当の教授に支えていただき、学生たちにアシストしてもらいながら、毎度楽しく来年二月に向けて文化事業を組み立てています。
 
今回の自分の立場はと申しますと―。

 東京、フランスでのファッションの経験を生かしたデザイナー、そして近年の県内における地域づくりのための文化事業のプロデューサーだととらえていますが、皆さんご存じのとおり、若輩かつ初体験なもので全然実感も何もありません。その上、年齢も近しい学生と同じ気になっているものですから、話が脱線することもしばしばありますが、それを最大のメリットとして経験豊かな教授陣に相談しつつ、牛歩ながらやることが決まってきました。

 文化事業に携わるたび、自分も含めて学生や若者がこの群馬の地域社会に接点を持ち、自分たちの夢を実現させる努力をしながら根付いていってくれることを切に願わずにいられません。活動に賛同してくださっている方々の支援を受けながら、地元群馬の仲間や地域の学生たちとさまざまな文化事業に取り組んでいますが、あまりにも若者の手を引いていくべき大人たちが少な過ぎ、地域の人材流出に歯止めがかかりません。

 職業選択の自由があるとはいえ、この現状を経済状況ゆえと判断するのは危険だと思います。実際に、三年半ほど前に修業を兼ねたフランス留学を終え、ふるさとに帰国した時にはすでに地元の友人たちの多くは県外で就労していました。そんな厳しい実情の中、群馬で勉強し生活する学生たちも、見えない殻を破りたがっているのです。

 なので、この素晴しい機会にさまざまな企業、機関を訪問させていただき、お話を聞いてもらいたいと思っております。訪問するのは講義をとってくれている学生に限られてしまいますが、それも偉大な一歩だと思っています。社会システムが地域をつくるのではなく、そこで生活する人が地域の幸せを思い、構成していくプロセスがあるからこそシステムが作用するのだと信じています。

 学生たちと進める本年度文化事業の集大成として来年のバレンタインデーには、大学から県内に発信する“ファッションショー「PINK NOW!」”を開催します。ぜひ当日、県立女子大に足を運んでください。このパワーを感じて楽しんでいただきたいと思っています!





(上毛新聞 2008年8月5掲載)