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管理栄養士 松尾 綾(前橋市石関町)

【略歴】共立女子大家政学部食物栄養学科卒。2004年、草津温泉フットボールクラブに入社。管理栄養士として、ザスパ草津選手の栄養管理を担当している。






夏バテ予防

◎良い生活習慣と食事で


 猛暑が続いています。暑さが厳しくなってくると夏バテになってしまう方も少なくないのではないでしょうか? 

 サッカー選手にとっても夏バテはつきもののようで、ザスパ草津の選手の中にも夏バテに苦しめられている人は毎年います。そもそもなぜ夏バテは起こるのでしょうか。そこにはいくつかの原因があります。

 原因のひとつは自律神経の乱れです。自律神経は交感神経と副交感神経のバランスを保ち、代謝・消化・呼吸などの働きを調節しています。自律神経が乱れると消化不良や疲れがとれないなど体にさまざまな支障をきたします。

 夏になり、外の気温が高くなるとクーラーのきいた屋内と屋外の気温差が大きくなります。気温差が大きい場所を行ったり来たりしていると体温調節機能に負担がかかります。体温調節機能を持つのが自律神経であり、その結果、自律神経が不調となってしまうのです。

 もうひとつの原因は、暑いからといって冷たいものをとりすぎると胃腸など内臓を冷やしてしまい、消化機能の低下やだるいなどの不調をきたすことです。

 また、発汗によって失われた水分やミネラルをきちんと補給しないと、脱水症状や熱中症などの症状を起こす場合があります。

 夏バテを予防するには(1)クーラーで部屋を冷やしすぎない(外との気温差を五度以内にする)(2)毎日同じ時間に寝て同じ時間に起き、規則正しい生活をする(3)冷たい飲み物やアイスクリームなどの体を冷やすものをとりすぎない(4)水分補給はこまめに少しずつ行い、脱水を起こさないようにする―という点に気をつけましょう。

 夏バテに効果的な食べ物は(1)疲労回復に効果的なビタミンBを豊富に含む豚肉や大豆製品(2)ビタミンBの吸収を助けるアリシンを含むタマネギやニンニク(3)エネルギーの産生をスムーズにして疲労回復を助けるクエン酸を含む柑橘(かんきつ)類や酢(4)胃液の分泌を促し、食欲を増進させる働きのあるスパイス類(5)ムチンという成分を含み弱った胃粘膜を保護するオクラ、山芋、納豆などのネバネバ食材―です。

 食べる事にも体力が必要です。食欲がないからといって食べないと食べる体力まで失ってしまい、「食べない→体力がなくなる→さらに食べられない」という悪循環に陥ってしまいます。そうならないためにも良い生活習慣をこころがけ、きちんと食べて夏バテを撃退しましょう。




(上毛新聞 2008年8月9掲載)