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県読書グループ連絡協議会会長 長 京子(桐生市新宿)


【略歴】前橋女子高、群馬大学学芸学部を卒業。結婚を機に1964年に桐生に移り住む。桐生市読書会連絡協議会を皮切りに婦人会などで活動している。



男女共同参画センター


◎充実した活動拠点願う


 前橋市大手町の県女性会館が来年三月末日をもって閉館する、と報道されました。耐震上の問題が指摘され、耐震補強に四億二千万円かかるのが閉館の理由だそうです。婦人会活動に携わってきた人には「寝耳に水」だったのではないでしょうか。これまでの同会館の役割などを思うときに、複雑な気持ちを抱く人は多いと思います。

 桐生市婦人団体連絡協議会に属する「桐生市南婦人会」が私の活動の場ですが、その私の目を通しても、同会館は県地域婦人団体連合会(県地婦連)の拠点でした。会議はもちろん、県「父の日」大会、女性問題研究集会などが開かれてきました。他の団体も、定例会議や総会、講師を招いての勉強会やイベントなどを開き、新人の研修などにも使われていました。今では女性相談室も設けられています。

 思い返せば、婦人会の再編が戦後始まり、三つの婦人団体が並立していた本県では一九五四年七月、三団体が一本化され県地婦連が発足、前橋市田中町(現・表町)の愛全会館の一部を借りて活動していました。五六年には旧婦人会館を同所に開館しています。

 県は六五年に婦人青少年センターを前橋公園脇に造り、女性や青少年の学習・研修の拠点にしました。一階が婦人青少年センター、二階は県婦人会館、三階は県立前橋青年の家。同センター建設に協力した県地婦連の名前は、建物の定礎に刻まれています。

 県青少年会館が八二年に同市荒牧町に完成。各種婦人団体連絡協議会は翌年の八三年に同センターをリニューアルして、財団法人「群馬県婦人会館」を開館させました。二〇〇三年には「群馬県女性会館」に名称を変えています。

 同会館の閉館を発表したのに併せて、県は新しく「ぐんま男女共同参画センター」を県庁裏の現・自治研修センターに設置することを明らかにしました。ちなみに、全国で男女共同参画センターが設けられていないのは群馬を含めて三県だけだそうです。全国でも最後の方に設けられるセンターとなるわけですから、他県の施設の良いところを取り入れたものに、と期待が大きかったのですが…。

 自治研修センターへの設置について、当初の提示では四階建ての一・二階のみの利用でとても手狭でしたが、紆余(うよ)曲折の末、建物全体を使用できることになりました。現・女性会館に比べると駐車場もほとんどなく不便を感じます。既存の施設なので将来的にはまた老朽化の問題も出てくるでしょうが、当面はここを拠点とし、群馬の女性のための良い活動ができることを願っています。


(上毛新聞 2008年9月21日掲載)