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全国地域活動連絡協議会会長 中村 京子(大泉町仙石)



【略歴】栃木県佐野市出身。県女性団体連絡協議会会長。1999年から県の地域活動連絡協議会会長。2007年4月から現職。



情報の伝達


◎活用されるよう工夫を



 この欄への執筆も今回が最後となります。この一年、予想外の反響に正直驚いております。私たちの活動を知っていただけたらと、主に子育て支援や地域活動について述べさせていただきましたが、講演や調査の依頼といったおまけまで付き、広報の大切さをあらためて感じた次第です。

 ところで、私は現在、活動とのかかわりで県などのいくつかの委員会に属しております。どの委員会でもさまざまに講じられた施策について、委員も真剣に討議しているわけですが、その割にはそれらの情報が県民にあまり伝わっていないと感じることが多々あります。

 以前、子育て中の親の集まりで話をさせていただいた時のことです。「子育てをしていて、行政に望むことや困っていることがありますか」と問いかけたところ、いろいろな要望や悩みが出されました。でもそのほとんどが既に施策として行われているものでした。その時はたまたま私が承知しているものでしたので、知っている限りの情報をお伝えし理解していただきましたが、かなりショックでした。研修会などに積極的に参加し、行政にもけして無関心とは思えない人たちでさえこういう状況です。一般の人の認識はどうなのでしょう?

 また、ある委員会でのことです。行政の方が「いくら情報を送ってもうまく活用されない」と訴えられましたので、情報の発信場所や方法について尋ねたところ、どうも問題があるようでした。行政の方はどうしても行政機関中心にものごとを考えがちですが、残念ながら一般の人にとって行政機関はそれほど身近なものではありません。

 例えば、子育てに関することなら、親子連れが集まる児童館や幼稚園、小児科医院などに情報を置いておく方が活用されやすいと思います。それぞれ対象に合わせ、的確に発信する必要があると考えます。

 どれほど素晴らしい施策や情報も活用されなければ、ないのと同じです。広報の仕方を工夫し、広く県民に浸透するようにしていくことが大切です。

 その意味で、出前講座のように行政と県民が直接語り合うことは大変意義があると思います。双方が意見を出し、話し合うことで理解も深まり、よりよい地域づくりへとつながっていくのではないでしょうか。

 また、これからは私のような立場の委員が行政と県民のパイプ役となって、双方の情報をきちんと伝えていくことが、より大切になってくると思います。微力ではありますが、皆さまの意見をしっかりとお伝えできるよう努力したいと思います。






(上毛新聞 2008年10月10日掲載)