視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
六本木マウンテン(LLP)代表 六本木 勇治(前橋市千代田町3丁目)



【略歴】2001年に渡仏、3年半ファッションや文化を体験。フランス生まれの「世界のCMフェスティバル in GUNMA」プロデューサー。06年8月から現職。



ちんどん大集合


◎発信したい隠れた熱狂


  来る十一月八日、今年も前橋の中心商店街に「全国アマチュアちんどん競演会in前橋」がやってくる!

 「全国津々浦々からアマチュアのちんどんチームが大集合! 初開催から多くのファンの方々に支えられ、今年でなんと第六回!会場も前橋中心市街地のランドマーク『前橋プラザ元気21』だよ! さぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 第六回全国アマチュアちんどん競演会in前橋、開演いたします!」

 この前橋のチンドンコンクールの歴史は意外にも古く、一九五〇(昭和二十五)年にチンドン屋大会が行われ、東京、全国へと広がるムーブメントとなりました。それから半世紀後、前橋、群馬をこよなく愛するおじさん、おばさんたちによる厩橋(うまやばし)CHINDON倶楽部(厩橋は前橋の旧称)が結成され、再スタートした文化的試みは、全国の地域に根付いたチンドン屋さんたちと交流を持ちつつ、県内外のまちづくりにも積極的に参加しています。

 私たちは三年前からお手伝いをさせていただいているのですが、フランスからの帰郷後、自分たちが行う以外の街づくりに参加したのはこれが初めて。それがきっかけとなり、前橋地域に接点を持てた大切なご縁です。清心幼稚園、中央小学校、第一中学校、前橋育英高校と、ずっと前橋で過ごした自分にとって、皆さんは地域の大先輩でもあり、同級生のご両親もいらっしゃいます。そんな方々と一緒に活動できるなんて思ってもみませんでしたし、驚くことにとにかく皆さんは輝いているんです。楽しんでいて、生き生きしていて、面白くて、私は大好きです。

 時代が急激に変化し、地域にあきらめや自暴自棄な風潮が蔓延(まんえん)する中、彼らのパワーは地域の人々の大事な記憶を呼び覚まし、心地よい安心感を与えてくれます。その積極的な姿勢は次世代に向けたメッセージでもあるのです。

 このように日本人の日常の中にこそ熱狂や興奮は隠れています。それをどう発見し、演出、発信するか。

 どこの街づくりにも一長一短があります。国の施策にとらわれ過ぎないよう、地区特有の意志や価値観を持つことが大切です。同時に、隣接した地域同士が協働し、大きい規模でしかできないこと、中くらいでしかできないこと、小さい単位でしかできないことを見つめ直すことも必要でしょう。そうしたことを社会が心がけていれば、生活や習慣をいつでも少しずつシフトしていけるのではないかと思います。

 十一月八日はぜひとも前橋へお出かけください。まえばしフェスタ2008も同日開催します。この活動の中にも私の愛すべき前橋が、群馬があります。地域づくりは“楽しいふるさとづくり”でもあるのです。



(上毛新聞 2008年10月27日掲載)