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元藤岡市立東中学校長 除村 晃一(藤岡市下大塚)



【略歴】群馬大卒。理科の教諭として教壇に立ったほか、県教委で管理主事を務めるなど主に人事職を担当。西部教育事務所長や藤岡市校長会長を歴任した。



教育現場の管理職


◎“新規”を求め続けよう


 “校長が代われば学校が変わる”とよくいわれるが、その通りである。教育改革の今こそ管理職(校長)の出番である。

 管理職が明るく元気で、力強くリーダーシップを発揮しなければ、現在の難局は乗り切れない。大過なくの守りの経営ではだめである。教育に近道はなく、モデルもレシピもない。むしろ、それらは必要ないものである。“いままで”にとらわれず、“これから”の姿勢が大切であり、「求めてやまず」である。そして、アイデアであり、行動力である。その心構えは「怒るな、威張るな、焦るな、腐るな、負けるな」である。自らを“磨き、鍛える”ことである。

 さらに、明確なビジョンを持って、旗印を高く掲げる必要がある。ドラクロワの絵の「民衆を率いる自由の女神」の如(ごと)くにである。また、変化球でなく、直球重視であり、常に一発勝負でもある。人生は片道切符だけの旅であり、後戻りはできない。学校は同じ日は決してない。常に新鮮な一日一日の積み重ねである。

 発想の原点は常に“学校のため、子どものため”である。したがって、言うべきは言えばよく、ひるむことはない。“迷ったらゴー”であり、任怨(にんおん)(相手に怨(うら)みを任せる)でよい。また、「我リーダーなり」の自覚と自信が必要である。幹が揺れたら、枝はその何倍も揺れるものである。取り組む姿勢は“できることから”“よいと考えたから”である。踏襲には前進はなく、リスクや失敗を恐れたら何もできない。信頼とは「ドミノ倒し」のようなものであり、それが崩れるのは一瞬である。

 確かに管理職は責任が重く、心労も大きい。日々薄氷を踏む思いでもある。しかし、それに耐えることは当然のことである。物事はすべて“自分発、自分行き”である。

 現在は変化への対応が重要であり、それができる者のみが生き残っていける時代である。それは企業も学校も同じである。新規のことを考え、求め続けることであり、川の浅瀬を優先させてはならない。精神的な若さを持って“生きっぷり”で日々挑戦する必要がある。そうした姿勢や態度は職員に伝わり、響いていくものである。記憶にも記録にも残る存在でありたい。

 管理職は人間力を高め、常に毅然(きぜん)とした態度を保つとともに、「一意専心」の姿勢が大切である。そして、“自分に自信を持って、自分の学校に誇りを持って”力強いリーダーシップを積極的に発揮し、教育活動の一層の充実と発展を図ってほしいと願っている。それが結果として、教育への信頼を確立することになる。

 「坂本龍馬」の如くの活躍を期待して、心からのエールをおくるものである。



(上毛新聞 2008年10月31日掲載)