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群馬中央総研顧問・客員研究員 鈴木 知足(前橋市昭和町)



【略歴】前橋高、慶応大卒。大手都銀と関連会社に38年間勤務し、企画部門(調査部、広報・MOF担)、国内営業部門(支店長、理事業務渉外部長など)を経験。




わが町内会



◎多士済々で“永遠”



 わが町内会最大の行事である「前橋まつり」参加も秋に無事終了した。二百八十世帯の町としては、準備開始から二カ月以上、延べ参加人員も千人を超すという一大イベントである。

 このほかにも敬老会などの行事、町内清掃、有価物回収、夜間パトロール、ラジオ体操、旅行、募金、町内会報の発行、講演会の開催、市広報の配布、地区の運動会等々年間活動は本当に多い。役員、組長、各種委員のご苦労はやってみたものしか分からないであろう。現に私もこんなに大変だとは思ってもみなかった。

 それではどういう人たちが役員で活躍されているかをご紹介してみよう。

 まず自治会長のAさんであるが、長年高校で地理学を教えていたことから、絶えず「自治会は住民の総意をもって」をモットーに、全員参加、平等運営を目指し、本当に真面目(まじめ)に活動している。副会長のBさんは市役所の近くで食堂を営む二代目ご主人であり、多くは語らないが、何事にも率先して取り組む元高校球児である。本年度から民生委員にもなっていただいた。

 書記のCさんは菓子材料問屋の社長で、元銀行員、町内業務を熟知しているほか体協の役員も兼務し、すべてに労を惜しまない活躍ぶりである。もう一人の書記Dさんは会報の編集長、消防団、美化委員、夜間パトロールの取りまとめ役などを担い、黙々と道端の草取りに精を出す姿は、県内でも有数の昆虫研究者とは思えない。

 会計は二人とも女性である。Eさんは町内の生き字引的存在で、新聞販売王として著名なお父さまの影響も受け、収入、支出全般ににらみをきかせている。彼女の了解なしでは何事も始まらない。そのEさんの強い推薦で昨年から担当となったFさんは、いつも笑顔と明るさで難しい任をこなし、早くも町内になくてはならない存在となった。

 会計監事も二人である。Gさんは身体のリニューアルの関係で現在はこの役にとどまっているが、実際は町内活動委員長である。お祭りも彼がいなければ進まない。中央官庁のキャリアとして勤めたが、家業のクリーニング店を継いでいる。この時の経緯を老人会長であるお父さまが涙を流して語ってくれた。もう一人は女性で、一八七八(明治十一)年から続く米穀問屋四代目のHさん。長年会計を担当し、その経験を監査の仕事で生かしていただいている。

 このほかにも多くの人たちが町内会の運営にボランティアとして参加している。私も一応副会長ではあるが、「中締め」の発声役というところで、皆におんぶに抱っこである。

 町内会の在り方が問われている昨今、こうした多士済々の人たちで構成されているわが町内のコミュニティーは“永遠”である。





(上毛新聞 2008年12月9日掲載)