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県ソフトボール協会理事長  高橋 義明(高崎市井野町)



【略歴】】日本体育大卒。元県高校教員。2006年から現職。08年から関東協会理事長、日本協会理事・ルール委員長。現在も地元チーム選手として活躍。県体協強化委員。


ソフトボール


◎考えたい球場と用具



 昨年七月、前橋市で第四十八回全日本実業団男子ソフトボール選手権大会が開催された。全国各地からの代表三十二チームが実業団男子日本一を競う大会である。地元代表として高崎市役所チームが出場、準決勝に進んで第三位となり大会を盛り上げた。

 会場は前橋の産業人スポーツセンターと北部運動場。北部運動場はB球場である。試合中のファウルボールがバックネットを越えて遥(はる)か後方の一般道路まで飛び、定期バスの横腹に当たる。また、主婦が運転をしていた普通車のフロントガラスに当たり、驚いた主婦は急ブレーキで止まった。幸い二件とも後続の車がなく、事故にはならなかった。

 大会に使用したボールは皮ボール(白)。今までの大会運営では考えられない飛び方で、主催者は二日目から球場を移動し、無事終了をした。

 シドニーオリンピック後、国際ソフトボール連盟(ISF)は攻撃的で面白いゲーム展開をするため、女子は投球距離を一二・一九メートルから一三・一一メートル、外野フェンスの距離を六〇・九六メートルから六七・〇六メートル、男子は外野フェンスの距離を六八・五八メートルから七六・二〇メートルに改めた。

 このことで用具メーカーは、飛ぶボールと飛ばすバットの開発が進んだ。大会の使用球は大会ごとに決められている。しかし、バットの使用は、検定を合格したものであれば個人の技術や体力で自由に選択ができる。

 昨年八月、私がルネサス高崎チームの練習に参加し、バッティング投手をしたときのこと。監督から「打球が速いので気をつけて!」と言われ投球した。最初の打者に五球を投げたところ、股間(こかん)に打球の直撃を受けた。すぐにトレーナーが来てベンチで股間を冷やし大事にならなかった。

 四十五年間競技を続けてきて股間の直撃は初めてで、打球の速さを現実に体験した。練習の帰りに、選手の使用したバット一本を監督から頂いた。今年九月、渋川市で開催される全日本シニアソフトボール大会県予選会に、このバットを使用し、全国大会の出場を目指したい。

 もともとソフトボールは、ボールが大きく軟らかく、遠くに飛ばず、危険性が少ないため、狭い場所で誰でもできる球技であることが特長で大衆に親しまれてきた。しかし、現在は技術や体力の向上、用具の開発によって、競技化、スピード化を求める傾向が強く、競技の内容も大幅に変化している。

 大衆スポーツとして発展してきたソフトボールの、危険性を少なくし、誰からも愛される競技にしたいと思う。そのためには、専用球場の必要性や、ルールによって用具を規制することを考える時に来ていると思われる。




(上毛新聞 2009年1月23日掲載)