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ぐんま子どもセーフネット活動委員会委員長  飯塚 秀伯(高崎市下小鳥町)



【略歴】大正大大学院修了。2006年、インターネットの有害情報から子供を守る「県子どもセーフネットインストラクター」の第1号に認証された。蓮花院副住職。


携帯の持ち込み禁止



◎不可欠な情報教育



 文部科学省は、携帯電話の小中学校への持ち込みを原則禁止すべきだとする指針を先月三十日、都道府県教育委員会などに通知した。携帯電話は学校における教育活動に直接必要ないため、当然の通達であると思われるが、少々遅すぎたとも思う。すでに県内では、明確に方向性を打ち出している市教育委員会もあるが、多くの市町村教育委員会では携帯電話の対応は基本的に学校一任の姿勢をとる。青少年ネット規制法など、子供と携帯電話およびインターネットに関する議論が活発化する中、早く方向性を示してほしいと感じていた。

 今回の文科省による通達に関して、保護者の意見はおおむね賛成のようである。保護者は、携帯電話は学校に持ち込ませる必要性はないと感じ、むしろ学校に持ち込ませることにより生じる混乱やトラブルを恐れているようだ。それに対し、持ち込み禁止への反論は、登下校時の安全確保の問題に集中する。携帯電話が登下校時の安全に結びつくかどうかは保護者の大きな関心事である。しかし、私がPTA活動の中で痛感したことは、登下校の安全は機械に頼るのではなく、人の目こそが一番重要であるということであった。携帯を与え、それによって安心感を得てしまう方がよほど危険であると感じた。

 携帯電話が学校持ち込み禁止になったからといって、学校が携帯電話および携帯インターネット教育から逃れたわけではない。学校の果たす役割は大きい。なぜなら、情報教育は家庭だけでは無理だからである。ネットの進化・増殖のスピードは保護者の想像をはるかに超え、場合によっては専門的な知識も必要となる。携帯電話や携帯からのインターネットのリスクを効率よく教育し指導するには学校という舞台が必要である。集団で教え、集団で考えさせるという教育は学校でしかできない。ただしすべてを学校に押し付けてはならない。学校の取り組みを支える仕組みも重要となる。この問題に詳しいNPOや市民活動などとともに、学校をサポートする仕組み・モデルケースを早急に作っていかなければならない。

 携帯電話学校持ち込み禁止は教育現場として当然の決定だが、学校内でも携帯電話に関する教育は必ず行わなければならない。ただし「携帯電話を上手に使いましょう」的な発想では、子供と携帯電話の問題は絶対に解決しない。なぜなら問題の所在は与える保護者や利用者側だけではなく、企業・提供者側にも大きく存在するからである。提供されたもの・サービスに対し、受け身の姿勢であってはならない。





(上毛新聞 2009年2月23日掲載)