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群馬中央総研顧問・客員研究員  鈴木 知足(前橋市昭和町)



【略歴】前橋高、慶応大卒。大手都銀と関連会社に38年間勤務し、企画部門(調査部、広報・MOF担)、国内営業部門(支店長、理事業務渉外部長など)を経験。



新人社員の皆さんへ



◎不得手をマスターして



 前略 新入社員の皆様

 ご就職おめでとうございます。希望に満ちた船出を心よりお祝い申し上げます。私もちょうど四十年前、緊張して社会人の第一歩を踏み出したことを昨日のように思い出します。

 さて、皆さんが就職活動を開始されていた一昨年の秋ごろは、息の長い経済成長期にあって、採用数も多く、比較的就職も楽な状況にあったことでしょう。

 しかし、内定を取ったころから、サブプライムローン問題の顕在化等により景気は下降局面となりました。そして、昨年秋のリーマンショック後は、百年に一度といわれる世界的な金融、経済恐慌に陥りました。それ以降の混乱は皆さんご承知の通りです。御同期には、内定取り消しや自宅待機を余儀なくされている方もいらっしゃるのではありませんか。

 このような状況の中で社会人としてスタートされた皆さんに、サラリーマン四十年の経験から社会人としての心構えを二点申し上げ、激励の言葉と致します。まず、『体のコンディションは常にベストを』、次に、『自分に不得手なことは徹底的にマスターを』ということです。

 第一については普遍的なもので今さら言うまでもありませんが、私はけがと病気で一カ月以上の長期休暇を三回も余儀なくされました。そのため、健康のありがたさを人一倍感じております。

 第二については、不得手なことは避けて通れるものであれば避けたいが、避けて通れないと判断したならば、それをぜひマスターしていただきたいということです。例えばイヤな仕事、嫌いな上司等々、逃げられるのであればそうしたいが、そうはいかない場面が圧倒的に多いと思います。その場合は積極的に取り込んで、仕事は自分のものに、相手は自分のファンにまでしてしまうことです。そして、毎日を明るく、楽しく、元気よく過ごしてください。

 また、最近の若者は三年で辞めてしまうとかよく言われております。現下の経済、雇用情勢も踏まえ、忍耐強く、我慢もしていただきたいのです。その先には希望の光がきっと輝いております。福沢諭吉はこうした皆さんの働く姿を次のように述べ、讃(たたえ)ております。「都会の雑踏、汚濁のなかで、あくせく働いて苦しんでいるその姿は、まさにこれ、汚泥のなかにすっきり咲いている蓮の花そっくりに見えるではないか」(「学生就実業」より)。

 ところで、皆さんの後輩たちは来春の採用人員激減の中にあって、就職活動に大変苦労をしておりませんか。ぜひ彼らへの励ましと適切なアドバイスもお願いしておきます。そして、健康に十分留意し、思う存分活躍してください。期待しております。

 草々





(上毛新聞 2009年4月2日掲載)