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県二輪車安全運転指導員協議会長  池田 伸也(渋川市中郷)



【略歴】県交通警察モニター連絡協議会会長、子持ライオンズクラブ会長を務めた。現在、渋川交通安全協会副理事長、県自動車整備振興会副会長。06年から現職。


二輪車の安全性



◎乗り方次第で快適に



 「二輪車」という言葉から多くの人が「危険」というイメージを抱くようです。四輪車に比べれば車輪が半分しかないわけですし、スタンドがなければ倒れてしまうからでしょう。

 しかし、「二輪車=危険」ということはありません。乗り方、扱い方に問題があるから危険なのです。二輪車は基本的に自転車と同じで、そのままでは倒れてしまいますが、走っていれば倒れません。スピードを出せば出すほど安定します。

 ただし、ここでいう「安定」とは倒れにくいという意味で、事故を起こしにくいということではありません。

 安全な乗り物を危険な乗り物にしているのは乗る人です。大切なのは二輪車に乗る時の心構え。乗っただけでは動かないのは当たり前ですが、「乗れば動いてくれる」という気持ちがあったら危険です。あくまで自分で操らなければいけません。

 二輪車は乗馬に似ていると思います。またがっただけでは馬は走ってくれません。意のままに操るには、それ相応の技術が必要です。技術は訓練で磨くもの。訓練には努力が不可欠です。

 馬の背にドンと腰をおろしているのは素人でしょう。慣れた人は足を踏ん張って腰を浮かせているはずです。二輪車も同じ。車にまたがったら、左右のひざを内側に締めて、腰を浮かせる気持ちで乗りましょう。「ひざを締める」―これをニー・グリップといいます。

 腰を浮かせるということは、足に重心がかかります。腰をおろしたままでは腰に重心があります。腰よりも足の方が低いので、腰を浮かせた方が重心が低く安定するのです。

 服装も大切です。二輪車にふさわしい身支度が必要です。できるだけ体を露出しないよう、長袖、長ズボンは当然です。ヘルメット、手袋も欠かせません。「ちょっとそこまでだから」「コンビニへ行くだけだから」という安易な気持ちは事故のもと。サンダル、短パン、ノーヘル…これでは二輪車に乗る資格がないと思います。

 県内では昨年一年間に、交通事故で九十五人が亡くなりました。ピーク時に比べたら激減したと言えますが、「まだ九十五人も亡くなっている」とも言えます。このうち十八人が二輪車乗車中です。

 二輪車の事故が新聞で報道されるたびに、「何とかならなかったのだろうか」「この事故は防げたのではないだろうか」と考え込んでしまいます。正しく乗れば、こんなに快適で安全な乗り物はないのに。





(上毛新聞 2009年4月12日掲載)