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日本愛妻家協会事務局長  山名 清隆(神奈川県川崎市)



【略歴】静岡県出身。広報企画会社「スコップ」代表。褒める気持ちで首都高の事故を減らす計画や、嬬恋村でイベント“キャベチュー”を行う日本愛妻家協会などを企画。



妻に愛を叫ぶ専用台



◎夫婦“雪解け”の機会に



 嬬恋村の「愛妻の丘」に新たな「叫び台」が完成します。冬の間の雪の中、誰も訪れる人のいないキャベツ畑の真ん中で黙々と叫び台を作ってくださった関係者の皆さま、ほんとにご苦労さまでした。ついに世界にただひとつの「妻に愛を叫ぶ専用叫び台」の完成です。世界に羽ばたく群馬県の新名所の誕生です。そこで二十二日の「よい夫婦の日」に新叫び台の完成披露イベントを計画。その名も「春キャベチュー」。春キャベツが採れるわけではありません。春に行うキャベチューなので春キャベチューです。サブタイトルは「夫婦間雪解け支援プログラム」。雪解けが必要だと感じているご夫婦の融和の機会になればと、叫ぶ参加者を募集中。もちろんそうでない方も歓迎です。真新しい叫び台を使って愛を叫べる「叫び初め」ができる千載一遇のチャンスです。

 「愛妻の丘」の前には「愛妻の丘こちら」と書かれた誘導標識も出来たらしく、重ね重ねご苦労さまです。嬬恋村の皆さまの熱意が伝わってきます。たしかに今までは愛妻の丘を発見できない人が続出してましたので、もうこれで安心です。二十二日はそうした愛妻家活動を影に日向に支えてくださった方が一同に集合する定です。そしてまた切ない男たちが体の中に本音を響かせたとき、丘は天使が舞い降りたような温かく幸福な感じに包まれることでしょう。

 ちなみに僕は今年「愛妻文化元年」になるという予測を立てています。婚活という言葉に刺激されて、これまであまり語られなかった「夫婦の幸福って何だ」がいろんな世代で表ざたになる気がします。夫婦で過ごす時間を楽しむとか、もっと夫婦の対話をしよう。という空気が世の中にはっきり漂いはじめる気がします。五年目を迎えて愛妻家協会への問い合わせが増えていることに加えて今年、夫婦をテーマにした映画の登場が、ひしひしとそれを感じさせるのです。五月に中村雅俊主演「60歳のラブレター」、秋に豊川悦司主演「今度は愛妻家」。前者は団塊世代、後者はアラフォー世代の夫婦を描いているらしいのですが、夫婦の幸福を前面に押し出した映画がこの二〇〇九年に重なっていることに時代の空気を感じるわけです。

 どうも今年はそういうことになりそうですから、修復や雪解けなどの機会を探っているビミョーなご夫婦は、せっかくなのでその流れに乗ってみましょう。会話のきっかけに映画のシーンを使ったり、叫んでる男の話をネタにしながら「私たち夫婦」「私たちの幸せ」について語り合ってみるのはどうでしょう。みんながやってるなら安心です。あらたまることはありません。そういう話を朝晩食事の度にしているうちに、自然に雪解けが進むかもしれません。





(上毛新聞 2009年4月16日掲載)