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群馬パース大教授  栗田 昌裕(東京都文京区)



【略歴】愛知県出身。東京大医学部卒、同大大学院修士課程修了。内科医師。医学博士、薬学博士。栗田式能力開発法を提唱。渡り蝶「アサギマダラ」の研究家。



15分間の知的散歩術



◎発見と感動で元気に



 心身ともに元気になる方法として「十五分間の知的な散歩」を勧めます。一般に散歩には「からだを動かす」ことで余分なエネルギー成分を消費して生活習慣病を予防し、老化を遠ざける効果があります。ここでは散歩が頭脳の活性化を促す側面に注目します。

 頭脳を活性化するコツの第一は、散歩中に観察力をよく働かせることです。これは五感を鋭敏にして情報を受け入れやすくする効果を生みます。風景からどれだけの情報を引き出せるかを考えながら歩いてみましょう。風景を約三十秒観察した後で、目を閉じて、思い出せるものの個数や風景の要素の配置を数えて観察力の良しあしの目安にしてください。テーマを決めてそれを掘り下げるような問題意識を持つと、関連する情報が目に飛び込んで来て、観察力を改善します。

 散歩で観察力を発揮するコツがつかめたら次は五種の体験を増やしましょう。

 (1)「感覚体験」。美しい場面、印象的な風景、鮮やかな色彩、おもしろい形、すばらしい香りなど、五感に新鮮に訴えてくる体験をしっかりとらえます。(2)「発見体験」。感動したり、気付いたり、新たに見いだす体験をしましょう。(3)「想起体験」。散歩中に過去の体験をどんどん思い出すように努めましょう。(4)「発想体験」。散歩中に斬新な発想をしたりアイデアを練ったりしましょう。(5)「行動体験」。散歩を通して、その日だけ体験できる初めての新鮮なことを何か一つ行ってみましょう。

 散歩時間は十五分でよいでしょう。終えたらすぐに五種の体験を振り返り、以下の三側面も点検します。

 (1)「想起の連続性」。これは連続的にきちんと思い出せるかどうか、です。注意力の持続の有無が確認できます。(2)「想起の綿密性」。これは個々の場面が十分に整って残っているかどうか、です。各場所できちんと観察できたかどうかが分かります。(3)「想起の全般性」。これは道筋の全体が思い出せるかどうか、です。体験の大局をとらえる知性が点検できます。

 五感を全開にして観察力を用いた散歩を行い、五種の体験が蓄積されると、精神の懐は豊かになり、知的活動が活発になります。さらに十五分間の散歩の全体を連続的に想起し各場面も精密に想起できると、知性を十分に発揮した散歩をしたことになり、散歩の味わいも深まります。このような「身体にもよく、精神活動も高める十五分の散歩」を楽しみながら、日々を元気に過ごしてください。





(上毛新聞 2009年4月20日掲載)