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県立ぐんま昆虫の森園長  矢島 稔(東京都台東区)



【略歴】東京都出身。東京学芸大卒。昆虫生態学専攻。1961年、動物園に日本初の昆虫部門創設。87年に多摩動物公園長就任。99年から現職。日本博物館協会棚橋賞受賞。



こどもホタレンジャー



◎環境を守る努力に感心




 三月三十日の午後、日比谷公園の満開に近い桜を眼下に見下ろす環境省の二十二階の会議室に私はいた。そこで「こどもホタレンジャー」と呼ばれる子供や大人たちの活動報告会と表彰式が行われたからで、全国から応募された四十一件の小中学生と団体の中から一次審査を通った二十二件の活動がスライド等を使って発表された。群馬県からは、東吾妻町の「箱島こどもホタレンジャーの会」が入り、地域の人たちと小学生数人による報告があった。

 箱島は大量の湧水があって、昔からホタルの里として有名な場所である。しかし多くの人が見に来ると、ごみが多くなり、流れがよごされてホタルが少なくなる。そこで地域の有志が小学生と一緒に川の掃除をしたり、天敵のザリガニを退治したり、ホタルの生態を皆で調べ、見に来る人たちに説明し自然保護を訴える活動を三年前から始めた。箱島地区の美しい自然を守りたいというメッセージを書いたしおりを作って見に来る人に配ったりもした。

 群馬には、各地に渓流があって、カワニナという巻き貝が増え、幼虫がそれを食べて育つゲンジボタルがあちこちで見られるが、年とともに数が減っているのが現状である。

 これに気づいた地域の人たちが、希望する小学生を集め、自発的に保護活動を展開し、どうしたらホタルを守り人と共生できるのかを考えて行動に移し、五感を通じて自然を知り自分たちの住む地域の環境を守る活動を展開している、という内容であった。

 いずれ劣らぬ自然環境とホタルを核にした保護活動に、出席した環境省や文部科学省、それに農林水産省の関係者もみな感心し、特に次世代を担う小学生のパワーに驚くばかりであった。結局、「箱島こどもホタレンジャーの会」は団体の部の特別賞を受賞した。同会は昨年度、トップの環境大臣賞を受賞し、斉藤環境大臣から直接賞状を受け「皆さんが力を合わせ大人の人たちと一緒に自分たちの住む地域をきれいにしたり、ホタルについていろいろ調べ、その結果を見に来る人にも保護の必要性を訴えているのを聞いて、大変感心しました。どうぞこの活動をこれからもぜひ続けて下さい」という言葉をかけられていたのである。この大臣賞をとってからさらに三つの班に分かれて学習会を開き、楽しく活動していることに、今度は「特別賞」という最高の賞が与えられたわけで、同じ県内の人たちの努力に対して名誉ある賞が与えられ、審査員の一人である私も、これほどうれしいことはない。

 ぜひ県内でホタルの保護活動をしている団体や学校の人も次回に応募してもらい、ホタルだけに注目せずに、環境を守るためにできることは何かという活動を報告してもらいたい。





(上毛新聞 2009年4月24日掲載)