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ザスパ草津トレーナー  香城 洋平(前橋市石関町)



【略歴】石川県白山市出身。小学3年から高校時代までサッカーに取り組む。石川県星稜高校サッカー部などのトレーナーを経て、2005年から現職。 鍼灸(しんきゅう)師の資格も持つ。



シーズン乗り切る鍵



◎不可欠なセルフケア




 今季のJ2も五十一試合と試合数が多く大変ハードなスケジュールとなっています。これを乗り切るには、トレーナーに行ってもらうマッサージやストレッチなどのケアはもちろんのこと、選手自身が自分で行うことのできるセルフケアも、大変重要となってきます。

 プロスポーツ選手は一見、常にトレーナーによりすべてケアを行ってもらい、体調管理を行っていると思われがちですが、実際はそうではありません。一流選手になればなるほど、選手自身で行うセルフケアの重要性を把握し、それを常に実行しています。先日、スポーツ新聞にフィギュアスケートの安藤美姫選手が、けがを機にセルフケアを始めたという記事も目にしました。

 代表的なセルフケアとして、以下のものがあります。一つはセルフストレッチ。セルフストレッチはよく皆さんも目にする光景だと思います。練習前や練習中、練習後に選手たちがおのおのでストレッチを行うことです。これはストレッチにより、身体の柔軟性を維持または獲得し、けがの予防を行うためです。選手たちは練習場だけではなく、自宅やお風呂などでも常にストレッチを自分自身で行います。

 次にアイシング。選手たちが身体にアイシングを行う光景もよく目にすると思います。アイシングはけがの治療のためだけではなく、疲労回復にも効果があります。サッカー選手であれば、特にももの前の筋肉(大腿(だいたい)四頭筋)やももの裏の筋肉(ハムストリング)、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)にアイシングすることで疲労回復が期待できます。

 次に交代浴。温水と冷水を交互に入り繰り返すことをいいます。選手達は四〇度から四四度の温水と一五度前後の冷水を温水三分、冷水一分の割合で三から四セット繰り返して行っています。この交代浴を行うことにより、血液循環の促進、また筋肉の緊張緩和作用が見込まれ、疲労回復に役立ちます。

 厳しいシーズンを乗り切るためにも、また現役生活を一年でも長く続けるためにも、セルフケアは絶対、必要不可欠です。長く現役生活を続けるためにはけがをしないことが最も重要となってきます。けがを未然に防ぐためにも、セルフケアは欠かすことができせん。

 このようにスポーツ選手にとってセルフケアとは、極めて大事なことであり、スポーツを楽しくそして厳しく行うためのキーファクターになりうることだと私は考えます。





(上毛新聞 2009年4月28日掲載)