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弁護士  上野 俊夫(館林市本町)




【略歴】中央大第二経済学部卒。2002年、司法試験合格。都内の実家を離れ、母のふるさと群馬の法律事務所に入所。08年4月、館林市で開業。一橋大大学院修士課程履習中。



借金苦の自殺



◎法的措置で解決を




 先日の報道によると、昨年、借金が原因で自殺した人は千七百三十三人もいたそうだ。私も借金が原因で夫が自殺した女性の相談を受けたことがある。夫は、自分の生命保険で借金を清算するため、若い妻と幼い子を残し自らの命を絶った。雇用情勢の悪化や先の見えない不況がこのような自殺の背景となっているのだろう。ただ、借金の問題で苦しんでいる人たちに声を大にして伝えたいのは、適切な法的措置をとれば借金の問題は解決するということだ。

 借金には利息がつき、この利息が消費者金融業者の利益となる。ここで、利息はいくらでも取れるというものではなく、借り主を不当な利息から守るため、利息制限法という法律で利息の上限が決まっている。

 ただ、多くの消費者金融業者は、利益追求のため消費者の無知につけ込み、利息制限法の上限を超えた利息を消費者から搾取してきた。消費者金融業者が利息制限法を守るようになったのはここ二、三年年のことである。そして、弁護士や司法書士に依頼すれば、法律の上限を超えて払った利息を取り戻すことができる。取り戻した利息により借金を減らすことができ、場合によっては借金がゼロになることもある。

 また、そのようにうまく処理できない場合でも、収入からみて返済ができないようなときは、自己破産をして借金をゼロにできる。自己破産は、言葉のニュアンスからすると、市民としての権利をはく奪されるような暗いイメージがあるが、実際にはあまりデメリットはない。自己破産をしても職場や知人に知られることはないし、銀行口座も今まで通り使える。要は、借金の返済ができなくなってしまったとしても解決する方法はある、ということだ。

 ただ、残念ながら、このような法律や制度を知らない人が多い。冒頭の夫も法的解決制度を知らず、どうにもならなくなって、返済するには命を絶つしかないと思い詰めたのだろう。私は、妻の相談を聞いたとき、夫が死ぬ前に話すことができたらと、胸が裂けるような気持ちになった。もし一言でも弁護士や司法書士のアドバイスを聞いていれば、夫は自殺しなくても済んだはずだった。無念さで泣き崩れている妻を前に、私は何も言うことができなかった。

 弁護士会や司法書士会は借金の問題については無料相談を行っている。借金の問題で思い悩んだら、最悪の決断をする前に、弁護士などに相談してほしい。相談の結果、借金の問題を解決した人がたくさんいるのだ。借金の問題は適正な措置をとれば必ず解決する。自殺など決してしないでもらいたい。





(上毛新聞 2009年5月28日掲載)