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県二輪車安全運転指導員協議会長  池田 伸也(渋川市中郷)



【略歴】県交通警察モニター連絡協議会会長、子持ライオンズクラブ会長を務めた。現在、渋川交通安全協会副理事長、県自動車整備振興会副会長。06年から現職。



二輪車の魅力



◎楽しめる季節の変化




 「さわやか」というのは秋の季語だそうです。秋は空気が澄んでいるので、確かにさわやかですが、二輪車に乗ればいつもさわやかになります。

 厳冬期は別ですが、春風が吹けばもう大丈夫。きちんと身支度をしてサドルにまたがると、さわやかです。真夏の暑い時でも、走っていれば涼しい風に迎えてもらえます。オーバーになるかもしれませんが、二輪車はさわやかになれる乗り物です。

 二輪車の魅力はまず第一に「風」。四輪車と違って自分の体で風と会話ができます。風にはにおいがあり、季節と地域の特性を教えてくれます。今は初夏のにおい。言葉で表現することはできませんが、春でも夏でもないにおい。動物も植物も活気づき、いろどりを増し、すべてがエンジン全開になっていることが分かります。

 もう一つの魅力は「視界」。さえぎるものは何もありません。乗用車を運転すると、死角があることを実感します。前面のガラスが反射することもあります。乗用車しか運転しない人は気付かないかもしれませんが、四輪車にはかなり死角があるのです。

 それに比べると二輪車には死角なし。すべて丸見えです。風のにおいで季節を感じることができますが、視界から飛び込んでくる景色は、季節の移ろいを確認させてくれます。樹木の葉の茂り方、咲いている花、畑の作物…。どれも四季が明瞭な日本の風景です。

 これらの魅力を満喫できるのがツーリングです。若いころは北海道、九州も行きました。電車の旅と違って時刻表は不要。その代わり、道路地図を用意して入念な交通情報の入手が欠かせません。走行中にヘンな建物を見つけたり、見たことのない花が咲いていたら、どこでも止めて確認することができます。乗用車のドライブより、駐車場の心配が少ないので、気軽にストップ、あるいはスケジュールの変更ができます。

 ツーリングがサイドカーならもっと楽しくなります。サイドカーとは、日本語に直すと「側車」。二輪車の左右どちらかに取り付けます。そこには一人が乗車できますから、親しい人と一緒にツーリングすれば思い出を共有することができます。一時はサイドカーに凝りました。35年も前になりますが、富士スピードウエーで開かれた全国大会で優勝しました。二輪車だけで走る時より制動が甘くなりますが、転倒の危険もないので安全です。

 二輪車は維持費が安くてすみます。狭い道でも気になりません。駐車スペースもそんなに必要ありません。これらは二輪車に乗ったことのない人でも分かることでしょう。でも、季節の変化を風に教えてもらうには、実際に乗ってみないと分かりません。





(上毛新聞 2009年6月11日掲載)