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東洋大国際地域学部准教授  子島 進(東京都板橋区)




【略歴】鹿児島県生まれ。総合研究大学院大修了。博士(文学)。2004年から東洋大国際地域学部教員。同学部の学生たちとフェアトレードの研究と実践に従事している。



生活の中のFT商品



◎未知銘柄で広がる世界





 今回は、私の普段の生活を通してフェアトレード(FT)商品を紹介したいと思います。

 妻と私の目覚めの一杯は、第3世界ショップの「ダージリンティー」(100グラム、735円)。インドの有名なお茶の産地で手間をかけて栽培されているだけあって、飽きのこないおいしさです。4歳の息子はスリランカの「チャイパック」(12個入り、462円)がお気に入り。「スパイスの香りがするね」などといっちょうまえにコメントしつつ飲んでいます。

 神戸大学の学生さんたちが運営する「ぺぱっぷ」のドライマンゴー(小200円、大400円)も朝の食卓の人気者です。これはフィリピンのセブ島で栽培・加工されています。1歳3カ月の娘は「バランゴン・バナナ」を喜んで食べるようになりました。オルター・トレード・ジャパンが「フィリピンの生産者に安定した暮らし」を、そして「日本の消費者には、農薬の心配のない食べ物を」と始めた「民衆交易」の主力商品です。こちらはパルシステムという生協さんに宅配してもらっています。

 出かける前の日課が、ベランダの植物への水やりです。プラスチックのプランターが多い中で、象の形をした素焼きの鉢がアクセントになっています。これはバングラデシュを中心に活動している「シャプラニール」の事務所を訪問した際に買ったもので、1000円くらいだったでしょうか。この国際協力NGOのカタログやホームページを見ても載っていないので、試験的に導入したレア物かもしれません。

 暑くなってきたこの季節、「ピープルツリー」のシャツを着て大学に向かいます。オーガニック・コットンなので肌触りは抜群、しかも教材として活用できる! そう言えば先日のゼミ発表では、Sさんがサッカーボールを持ってきました。「わかちあいプロジェクト」がパキスタンから輸入するこのボールをけると「ロナウドのようなシュートが決まる」とのことです。講義が終わって研究室に戻ると、「とりあえずコーヒーを飲もう」。フェアトレードのコーヒーは何十種類も出回っており、知らない銘柄を注文してみることで少し世界が広がります。

 週末になると、ネパリ・バザーロのカレー作りです。4皿分が2袋入って567円。コリアンダー、クミン、ターメリックといったスパイスが小分けしてあるので、味はお好み次第。子供の小さなわが家では、トウガラシは入れないので辛くありませんが、旬の野菜を新鮮なスパイスの香りと一緒に楽しんでいます。





(上毛新聞 2009年6月17日掲載)