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群馬中央総研顧問・客員研究員 鈴木 知足(前橋市昭和町)




【略歴】前橋高、慶応大卒。大手都銀と関連会社に38年間勤務し、企画部門(調査部、広報・MOF担)、国内営業部門(支店長、理事業務渉外部長など)を経験。



前橋と高崎の合併論議



◎一体化で無駄ない街に




 2009年の路線価が公表された。これによると都道府県庁所在地の最高路線価比較で、前橋市が3年連続で最下位となったことが大きく報道されていた。市長も「引き続き中心部の地価が上昇に転じるよう努める」との談話を出しているようだが、そう簡単に「転じる」ものではない。

 10年前に銀行の第一線を退いた時から、前橋市のワークショップに参加、『マイバス』としての具体化など中心市街地活性化研究会の一員として活動してきた。

 こうした私の活動を知っている幼稚園時代からの友人で、東京で活躍しているY君から、3年前初めて前橋が全国最下位となった時「お前たちがいろいろやっているのにどうしてこうなったのか?」という詰問があった。それに対し、以下のように答えた。すなわち前橋がどうのこうのではなく、高崎の最高路線価を見れば、宇都宮や水戸とほぼ同じで、前橋と高崎を一体で考えると理解できる。いわば、高崎に銀座や新宿があり、前橋に霞が関や世田谷がある。つまり、市政発展の歴史的ゆえんからこうなっていると。

 東京で40年間生活した経験から群馬を眺めた場合、前橋と高崎はまさに一つである。両市が合併すれば群馬県の人口の約半分を擁する政令指定都市が出来上がる。浦和・大宮・与野や静岡・清水などの例も近くにあるにもかかわらず合併の議論は一向に盛り上がっていない。先の前橋市議会議員選挙でも立候補者選挙公報で合併を表明した候補者はわずか1名である。上毛新聞によるアンケ―ト調査によっても、「高崎市との合併を目指す」という問いに対し、「どちらともいえない」と「反対」で約70%となっている。どうもこの話はタブー視されているように感じてならない。

 東京で、高崎出身の人と会えば、10年来の知人、友人に出会ったように、ローカルな話題や上毛かるた等で話が進む。それなのになぜなのか。今更過去にわだかまる必要もないと思うのだが。

 私は銀行員として3回の合併を経験した。それがうまくいく秘訣(ひけつ)は、優位に立っている方が譲ることである。これでは効率化が進まないという疑問を感じるかもしれないが、かえってその後、話がスムーズに進み、一体化が醸成され、効率化もすんなりまとまる。強硬手段で臨んだとたんに険悪な空気が漂い、疑心暗鬼の関係となってしまう。

 前橋と高崎が同じ市であれば市長もあのようなコメントを出す必要もない。それ以上に地価を上げるための無駄な費用もかけずに済むのである。

 自然の流れに逆らうには莫大(ばくだい)な費用がかかる。一方自然の流れとともに運用すれば無駄のない街が出来ると思うのだが、この議論いまだ時期尚早なのか。






(上毛新聞 2009年7月30日掲載)