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体験型古民家民宿かじか倶楽部店主  米田 優(南牧村大日向)




【略歴】北海道出身。日本大中退。千葉県内の私鉄に勤務、労働運動に携わる。国会議員公設秘書を経て、2006年に南牧村で手打ちそば店、07年に体験型古民家民宿を開業。



増える限界集落




◎再生の議論優先させて




 過疎によって地方が疲弊するとともに、少子高齢化時代の到来で「限界集落」が増えている。長い間日本を支えてきた地域であるにもかかわらず、その歴史と伝統文化までが消え去ろうとしている。こんな状況を見るにつけ、日本の行方を憂うとともに寂しさが込み上げてくる。私の暮らす南牧村も人口減少に歯止めがかからず、限界集落を数多く抱えている。

 この問題は、市町村合併したからといって解決するわけもなく、地元自治体だけの力で解決できるものでもない。もちろん、「地域活性化」の名の下に最大限の努力は必要だが、現状の社会状況や経済状況の中で、その道を切り開くのは至難の業である。それでも、その集落に残された高齢者たちが歴史や伝統文化を受け継ぎ、黙々と生き抜いているその姿に、感動さえ覚える。

 しかし、このままでは大半の集落が消滅し、最終的には自治体としての存続も難しくなるに違いない。限界集落という言葉に対する善しあしの議論が先行し、議会やマスコミにも取り上げられるが、果たしてそんなレベルの問題だろうか。それよりも、限界集落を再生する政治的な議論が優先されなければならないはずである。

 国や県は「村おこし」の重要性を提唱し、さまざまな補助金メニューを提案するが、いずれも部分的なテコ入れであって、限界集落並びにその自治体を活性化させるような施策には程遠い気がしてならない。本来は、国や県が主導的な役割を果たし、その自治体を真に再生・救済するためのトータルプランが必要なのでないだろうか。 

 私は、昨年の元日に群馬県知事とテレビ対談する機会を得、群馬テレビで放映されるとともに「グラフぐんま」にも掲載された。テーマは「群馬のおもてなし」であったが、対談最後、今年の抱負の場面で、村おこしの観点から「南牧村を地域活性化モデル地域指定してほしい」という話をした。それに対して知事は、「南牧村が活性化されれば、群馬全体が活性化されますね」と答えてくれた。

 一昨年の台風9号で被災した村を、いち早く視察してくれた知事の行動力、そして復旧工事の迅速さに感動を覚えた一人として、南牧村および西上州の活性化について、強い思いを胸に秘めているに違いないと確信している。

 限界集落、そこには手つかずの自然と日本の原風景がまだ残っている。そして歴史と伝統文化・人情が息づいている。そんな地域の灯を消さないために、地元民はもちろんだが、政治の舞台で掘り下げた議論を望みたい。






(上毛新聞 2009年8月18日掲載)