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二科会デザイン部会員(審査員)  鳥越 修治(東京都世田谷区)  



【略歴】前橋市出身。鳥越デザイン事務所代表。二科会デザイン部会員賞12回受賞ほか。日本グラフィックデザイナー協会会員。あかぎ国体デザイン専門委員も務めた。



変革するデザイン展




◎新しい時代の表現探る




 常に新しい情報を発信する街、東京の六本木に、一昨年、国立新美術館が誕生した。国内最大級の近代的な美術館で、会場は広く、明るく、ゆったりと作品鑑賞ができると好評である。

 その会場で、秋一番に開催される二科展の中に、デザイン部の全国公募展がある。私は長年その審査に携わってきたが、最近の応募作品の傾向を探ってみた。

 応募作品には、自由な発想と創造性豊かな感性が期待され、既に完成された表現形式よりも現代的な意欲にあふれた作品が歓迎される。

 デザイン部は、作品の方向性を定める4つのジャンルに分けられ、審査が行われる。グラフィックアート性の強い自由テーマ部門、イラスト部門、特別テーマ設定の部門、マルチグラフィック部門である。

 最近はコンピューターを駆使したコンピューターグラフィックスは少なくなり、むしろアナログを代表する手描きのイラスト表現や、立体的なオブジェスタイルによる感性を直接表現した作品が目立つ。そこには共感を呼ぶ強さがある。

 展示会場でイラスト大賞の受賞者に尋ねたことがあった。その作品は驚くほど緻密(ちみつ)な描き込みのイラストで目を見張るものがあった。作者に、完成の筆をどこで止めるのかと聞くと、本人も分からず搬入日まで描き続けたという。驚きである。このような作品には力強いエネルギーがあふれていて見る人を圧倒する。

 以前は作品の中にローカルカラーやその地方ならではの特色のある親しみを覚える作品があった。しかし今はあまり見受けなくなった。それは、インターネット等による情報化の進展で標準化されたように思える。

 特別テーマ設定の部門では、課題の目的性を重視し、時代感覚やグラフィックアート性が問われる。一般応募者も含め会員、会友が同じ課題へ向かって挑戦する。作品はバラエティーに富んだ表現で、十人十色の作品が一堂に鑑賞できて、とてもおもしろい。

 マルチグラフィック部門では、多様な作品がある中で、静止画なのに、その作品を見ながら人が動くと作品パターンが変化して見えるという、まさに視覚トリックである。

 また、「手で触れて鑑賞できる立体化作品」、「触って聴くポスター」も登場し、実験を試みた。これまでは視覚に障害のある人が美術館で作品を鑑賞することは困難であった。これはテレビでも報道され、一般の人たちにとっても新しい鑑賞領域となり、ユニバーサルデザイン、ユニバーサルアートとして多くの方々から賛同をいただいた。

 このような新しい時代の流れの中にあって、現代のデザイン展も変革し始めている。その時代の表現を生み出し、人々に理解され、それを世に伝えていくことは創つくり手の使命でありロマンであると思う。






(上毛新聞 2009年8月22日掲載)