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東洋大国際地域学部准教授   子島 進(東京都板橋区)  




【略歴】鹿児島県生まれ。総合研究大学院大修了。博士(文学)。2004年から東洋大国際地域学部教員。同学部の学生たちとフェアトレードの研究と実践に従事している。



FTの成果と夢



◎地域から国際協力を




 前回は館林でのフェアトレード(FT)商品販売(8月19~23日)についてお知らせしました。最終回となる今回は、新たに結成されたサークル「ハートバザール」としての販売の成果と、今後の展望(夢)をつづってみたいと思います。

 4年目を迎えた今回の販売では、商品のバラエティーを広げることに努めました。その一環として、ぺぱっぷ(神戸大生が中心となって活動するNGO)が輸入販売するセブ島のドライマンゴーを販売しました。わざわざ神戸から館林に駆けつけてくれたぺぱっぷメンバーと一緒にがんばり、140個を完売することができました。

 また情報発信の新しい試みとして、地元館林二中の生徒さんにも参加してもらい、ケーブルテレビのCMに出演しました。昨年から行っている上毛新聞シャトル紙上での連載「おすすめ商品」には、東洋大経営学部や北海道の北星学園大の学生さんにも執筆してもらいました。さらに、日本を代表する国際協力NGOシャプラニールの小松さん(フェアトレード担当)が東京から来てくれました。同団体の商品を販売している様子を「国内での国際協力」としてPR用DVDに収録するためで、プロの撮影スタッフ同行でした。不景気で心配していた売り上げも5日間で58万円、1日あたり約12万円と、これまでで最高となりました。

 この4年間を振り返ってみると、「地域から発信する国際協力」の形が少しずつ見えてきた気がします。商品の選定、紹介記事の執筆、そして販売に、学生が楽しみながら真剣に取り組む。そして、その輪をゼミから学部へ、さらに他学部・他大学の学生へと広げていく。その流れを、今後は地域との連携を深める方向に展開していければと思います。

 そのためのアイデアの一つが「つつじコーヒー」です。フェアトレードのコーヒーを、館林名物(つつじ、分福茶釜、こいのぼり、多々良沼の白鳥など)のパッケージに包み、4・5月限定で観光客に販売。途上国の生産者に適正な利益を還元した上でさらに収益が出れば、地域支援(たとえば乳幼児の託児サービス。わが家も、館林に暮らしていた5年間、たいへんお世話になりました)にも使えます。1袋のコーヒーが国際協力、地域コミュニティー支援、そして観光PRと何役も果たしてくれるわけです。

 学生には「また先生の妄想が始まった」と笑われるのですが、そういう空想というか構想というか、それがだんだんと実現してきてハートバザールが誕生しました。今後も多いに語っていきたいと思います。





(上毛新聞 2009年10月5日掲載)