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山崎学園東日本栄養医薬専門学校理事・校長  鈴木 叡(前橋市東片貝町)  



【略歴】前橋高、放送大、高崎経済大大学院修了(地域政策学)。群馬銀行常務、群馬テレビ社長などを経て現職。県社会教育委員、県銃砲刀剣類登録審査委員。



食育と地産地消


◎郷土の生産物に誇りを



 先日の本紙「ひろば」に、食育という言葉について一考を要するという、ごもっともな投書が寄せられました。日本人は熟語づくりが上手といわれ、一目で意味が分かる無数の熟語が活躍しています。しかし、食育基本法が制定されてまだ4年、この言葉は耳新しく、定着には時間がかかりそうです。一方、新聞、雑誌、各種刊行物のなかに、頻繁にこの言葉が登場しているのも事実です。やがて、言葉だけでなく、法の理念が広く理解され、食育が推進されていくことを願ってやみません。

 法の前文では、21世紀におけるわが国の発展のためには、子どもたちが健全な心と身体を培い、国民が心身の健康を確保し、生涯にわたって生き生きと暮らせるようにすることが大切であると、うたわれています。

 いま、私たちは豊か過ぎるほどの種類、分量の食生活で、メタボが日常用語と化しています。その一方で、不規則、偏った食事なども健康を害する要因になっています。教育機関にも、食育について大きな責務が課せられております。とくに、私どもの学校は栄養士の養成校ですので、講義や実習のなかで、これからの食育をになう有能な人材の育成に力を入れております。

 食育の推進で、大きなポイントに、農林漁業への理解を深めること、多様な体験活動を通して、農畜産物や水産物に接し、その役割について認識を持つことがあります。そこで、いま、もっとも重要なのが、地場産の食材の活用といわれているのです。

 わが群馬県は、大沢知事がよくいわれるように、全国に誇れるすぐれた農畜産物生産県です。2007年農業統計で全国ベスト5位に入るものが24品目もあります。この豊富な食材を利用し、おいしい料理や、いろいろな食品をつくることが、まず大切です。このことによって、子どもたちを含め、県民が「食」を通じて群馬の農業を理解し、生産物を身近なものとして、郷土の誇りに思ってほしいのです。

 まさに、知事がいわれる「郷土を愛する心があれば、誇りと自信をもってふるさとを語れる」のです。これが、わが群馬の知名度アップにもつながっていくのだと思います。

 毎日の食事の時、料理をつくってくれた人、食材を生産・提供してくれる農業や漁業の人びとに「いただきます」「ごちそうさまでした」と、心をこめて感謝する気持ちを持つこと、これこそが食育の第一歩でありましょう。

 「ひろば」ご投稿の方がご指摘のように、食育は、あいまいで耳慣れない言葉ですが、実践活動を推進することで、やがては定着していくでしょうし、国民の健全な食生活の実現に大きく役立つのではないでしょうか。






(上毛新聞 2009年11月15日掲載)