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県立県民健康科学大学長  土井 邦雄(前橋市岩神町)  



【略歴】東京都生まれ。早稲田大理工学部卒。1969年からシカゴ大放射線科に勤務し、同大教授、同大カートロスマン放射線像研究所長を歴任。今年4月から現職。


大変化の時代の大学


◎レベル上げ地域に貢献



 私は本年4月に、県立県民健康科学大学の学長として着任しました。それまで、シカゴ大学で40年間にわたって、医学物理と放射線医学に関する研究と教育に従事していましたので、この経験を活(い)かして本学を大きく飛躍させ、日本一流の、そして世界にも通用する大学にしたいと考えています。

 着任当初に、私は学生に対して、楽しく勉強できる環境と雰囲気を作ると約束しました。ただし、それを実現するには、誰かが作ってくれるのを待つのではなく、自分たちも積極的に参加して作り出す必要があると教えています。また、教職員に対しては、楽しく仕事のできる環境と雰囲気を作り、さらに、各人それぞれの目標を達成し、それぞれの人生において成功するように援助支援するとも約束しています。楽しく勉強し、楽しく仕事ができる環境と雰囲気は、誰にとっても、自分からやる気を出すために必要だと思います。大学では、昼食時には、毎日、学生たちと食事をすることにしています。大学を良くするには、学生を知り、理解することが必要だと考えるからです。

 経済環境、少子高齢化、政治改革、大学改革などのいろいろな観点から、多くの方は、現在は大変化の時代と考えています。この時期に、本学を大飛躍させるのは決して容易ではありません。しかし、大学院後期博士課程を設置し、研究環境と施設を充実させ、高度のレベルの研究と教育を実現することは、地域への貢献の重要な要素と考えます。看護師、保健師、診療放射線技師、医学物理士などの医療従事者のレベルを大きく向上させ、地域の方々に還元することは、私の目標の一つです。これを実現するには、本学の教職員による努力だけでなく、県庁および県議会の皆さまのご理解とご支援が必要です。そのための基盤となるのが、地域の皆さまのご希望と熱意だと信じます。

 本学は、地域への貢献を考慮し、市民公開講座、出前なんでも講座、地域懇談会などを行っていますが、11月初めの桃の木祭と呼ばれる学園祭は、本学の横を流れる美しい桃ノ木川にちなんだ名称で、地域との関係を重視する学生と教職員の気持ちの表れだと思います。さらに、学生や教員によるいろいろなボランティア活動が行われています。これには、小児医療センターでの「子供たちと遊ぶサークル」、「赤ちゃんサークル」、群馬子育て支援センターでの「子育て支援活動」、小学校での「寺子屋・遊びの城ボランティア」、介護老人保護施設での「夏祭りボランティア」などへの参加ですが、今後は地域貢献のためにできるだけ多くの催しを企画し、例えば、敬老会、長寿会、納涼祭などにも学生たちが参加し、地域への貢献をさらに大きく進展させる予定です。





(上毛新聞 2009年11月18日掲載)