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赤城自然塾事務局長  小林 善紀(桐生市黒保根町)  



【略歴】桐生高校、同志社大商学部卒。「古久松木材」(高崎市)に30年間勤務。1998年から4年間、旧黒保根村収入役を務めた。現在は赤城自然塾事務局長。



赤城の地からの発信



広域連携で環境教育を



  私は現在、「赤城自然塾」と「赤城クリーン・グリーン・エコネットワーク」の事務局長を務めています。名前でお分かりと思いますが、2団体に共通するのは「赤城」と「環境」です。

 赤城は群馬を代表する山ですが、入りこみ客数は年々減っており、各方面で観光資源の再生・開発に努力しているところです。環境という言葉は、グリーンニューディール、グリーンジョブ、環境立国戦略など、毎日たくさん耳目に飛び込んできます。

 30年間、木材の取引を生業として続けるなか、15年間は木材の輸入販売に関わり、主に米材、カナダ材を取り扱い、現地にも頻繁に飛び、原生林の森にもログサーベイ(原木調査)と称して足を踏み入れました。そこには針葉樹の大木がうっそうと茂っており、地表は分厚い緑のジュータン(コケ)におおわれ、ときにはブラウンベアの大きな糞ふんがこんもりとあり、リスが忙しく動き回っていました。

 ログサーベイの結果、経済的採算がとれるとなると皆伐が始まり、大型機材によりたちまち荒廃した跡地が現れ、その度に何とも言えない胸の痛みを感じておりました。この経験が環境にかかわるきっかけとなりました。

 カナダの森林については、今年3月に発刊された『森林大国カナダからの警鐘』(エリザベス・メイ著)に、経済性の追求から皆伐され、二度と元の森には戻れない状況と、その因果が詳しく書かれてます。この本は訳者の深沢雅子さんからプレゼントされましたが、あらためて森林破壊に手を貸してきたことに気付かされ、つぐないの意味もこめて環境保全・保護活動にかかわる動機付けとなりました。

 2002年、赤城山を元気にし、赤城地域で活動している皆が赤城山から元気をもらおうという思いを共有する仲間が集まり、「赤城クリーン・グリーン・エコの集い」がスタートしました。赤城の地で、環境に配慮した人づくり、ものづくり、まちづくりが行われる地域を実現させようという動きでした。05年7月には120の団体、個人により、「赤城クリーン・グリーン・エコネットワーク」が発足しました。

 また、これを母体として今年3月には、環境に配慮した人づくりに特化し、広域連携による環境教育のプログラム策定とその実践、指導者養成を目指す「赤城自然塾」が発足しました。

 赤城の地で生まれ育った子どもたちが、環境に配慮した行動原理をそなえ、環境人材として成長し、国内、国外で広く活躍してくれることを願っています。





(上毛新聞 2009年12月4日掲載)