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ぐんま総合情報センター・ぐんまちゃん家所長  金子 敏男(東京都世田谷区) 




【略歴】沼田市出身。1967年、群馬県庁に入庁。消防学校、前橋行政事務所、東京事務所勤務を経て、2008年から現職。著書に「ポンプ操法指導マニュアル」。




ぐんまちゃん家の活用



◎認知度高める戦術を




 「『ぐんまちゃん家(ち)』でキャンペーンをしたい」との要望が多方面から寄せられます。活用目的は「イメージアップを図りたい」「誘客につなげたい」「販売促進戦略を探りたい」などとさまざまです。

 イベント主催者は、にぎわいを創出するための工夫を凝らします。来場者へのノベルティー配布、物産購入者を対象とした抽選会、フラダンス・八木節・サンバなどの踊りを組み込んだプロモーション、一般的になじみの薄い食材を使った調理講習など、地域の持つ多様な魅力を幅広く紹介して、お客さまの満足感を醸し出そうとしています。

 イベントを重ねていると、よりPR効果を高める方策や、新たなビジネスチャンスを狙う戦術などを強く意識することにもなります。次第に、銀座歩行者天国を和装でミニパレードする、銀座の公園で八木節踊りを披露する、マスコミをキャラバンするなど、注目を浴びるキャンペーンが登場してきています。その結果、業者とのマッチングから商談が成立するなどの成功事例が、さらなる励みや、やる気にもつながっているようです。

 県立ぐんま天文台、ぐんま昆虫の森などの教育的施設では、知名度の高い古在由秀台長、矢島稔園長を先頭に、積極的に来場者やマスコミと交流して、オンリーワンの魅力をアピールし、誘客につなげる努力をしています。

 新たな試みとして、県立女子大学で実施している「群馬学シンポジウム」の一環で、「群馬の食ブランド」をテーマとしたイベントをぐんまちゃん家で開催したところ、参加者から高い評価を得ました。引き続き、群馬ファンを着実に増やすため、萩原朔太郎、富岡製糸場と絹遺産群をテーマにした「ぐんまちゃん家のふるさと講座」を開催したほか、ぐんま地域・大学連携協議会連続講演会も開催しました。受講者からは、「粉文化の背景がわかった」「マンドリンの音色に感動した」「他県アンテナショップと異なった魅力がある」との声が寄せられています。

 ぐんまちゃん家では、DM発送、チラシ配布、ホームページ掲載、メールマガジンなどで周知し、時として新聞に折り込みチラシを入れるほか、着ぐるみぐんまちゃんによる入場勧誘、マスコミへの取材要請などでサポートをしています。

 これらの活動を通じて再認識させられるのは、ビジネスとして成立させることの難しさであり、「良いものを作れば売れる、キャンペーンをすれば知れ渡る、というものではない」ということです。提案するものの優位性や差別化できる独自性、ストーリーとして表現できる話題性をアピールしながら、持続した認知度を高めるための取り組みが必要と実感しています。







(上毛新聞 2010年3月26日掲載)