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前・ぐんまちゃん家所長  金子 敏男(前橋市上小出町) 



【略歴】沼田市出身。1967年、群馬県庁に入庁。消防学校、前橋行政事務所、東京事務所勤務を経て、2008年から10年3月までぐんまちゃん家所長を務めた。


ビジネス機能担うには



◎信頼される「群馬発を」




 「銀座に出店できることはステータス。生き残ることでブランドになる」。老舗レストランチェーンを経営されている社長からお聞きしました。「こだわりの野菜がほしい」。老舗料亭オーナーからの要請です。安全・安心の食材を吟味し、よりよい味と安らぎの提供を追求している姿勢に、銀座で生き残る厳しさを垣間見ます。

 「ぐんまちゃん家」が小売業的な役割だけではなく、大口取引を成立させるなどのビジネス機能を担うためには、こうした多量に食材を取り扱うレストランや、百貨店・ホテルなどの業界に、パートナーとしての信頼を得なければなりません。

 幸いにも、銀座は「良いものは良い」と認めてくれる土壌があります。また、懐が広く、新参者に対して、「一緒にやっていきましょう」といった温かみのある働きかけもあります。

 調理責任者からは「群馬の野菜には力がある」との評価をいただいています。既に、群馬の朝どり野菜がその日のランチで食べられる店があります。ある老舗鰻(うなぎ)料理店では、群馬の刺し身こんにゃくと日本酒が、定番メニューで提供されています。流通など、いくつかの課題をクリアすれば、首都圏の料理、飲食店において、群馬の食材を使っての料理を提供してもらえる機会がより増えていくことでしょう。

 県農政部が企画して、都内料飲店33店舗と連携した「ぐんま食彩フェア」が3月に開催されました。群馬の食材を使った特別メニューを提供してもらうもので、お客さまからも好評でした。群馬産の食材がブランド力をつけるなど、ごく近い将来にも、大きな成果が出るものと期待しています。

 「ぐんまちゃん家」と同じ並びに群馬のせんべい店がありますが、ここ2年、前年比を大幅に上回る売り上げを記録しているとのことです。広告など、プロモーション努力を重ねた結果と伺っていますが、銀座出店の先輩に元気をもらいました。

 また、銀座の夜を彩る街路灯は、群馬ゆかりのものですが、ご存じでしょうか。前橋工科大学工学部の松井淳教授によるデザインで、制作は、藤岡に工場を持つヨシモトポールが担当しました。社長の話によると、松井教授のデザインをより正確に具現化するために、数回の試作を行ったそうです。銀座中央通りを歩くたびに、「はばたけ群馬」の思いがします。これらの積み重ねが、群馬県の活性化につながることと思います。






(上毛新聞 2010年5月16日掲載)