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いせさきFM放送取締役放送局長  高橋 忠文(伊勢崎市連取町) 



【略歴】東京工科大メディア学部卒。大阪の証券会社社員、FMたまむら放送局長を経て2008年11月、いせさきFM放送の開局と同時に取締役放送局長に就任。



ベリカードで受信確認



◎自局のカラー打ち出す



 放送局を運営していると不思議な郵便物が月に4~6通届くことがある。封筒を開けるとその中から見えるのは、1通の手紙と80円切手。手紙の中身は、タイトルが「受信報告書」。「貴局の放送を受信しましたので下記のとおり報告致します」とあり、名前と受信した際の放送内容などが書かれている。

 この話で直感的にどんなことかわかった方は、ラジオをよく聴いていたラジオ世代だと言っていい。

 ラジオ局には、番組表や局のステッカー、グッズなど自局をPRするものが存在するが、そんな中で変わったものがある。それはベリカード(VerificationCardの日本式省略)と呼ばれるものだ。聴取者が放送局に受信報告書を送付した際に、その証明として放送局が発行するカードのことである。受信確認証とも呼ばれる。

 つまりわかりやすく言うと、ベリカードとはラジオを聴いた方が、「貴局の放送を受信しましたよ」という手紙を送付すると、ラジオ局よりオリジナルのポストカードで「あなたが受信できた電波は私たちのラジオ局ですよ」と証明書として返信する風習があるのである。

 こんなの知らなかったよという方も多いのではないだろうか。私自身、ラジオ局に勤めるまでベリカードなんてものが存在するとは知らなかったのである。

 なぜ、こういったことが行われているかというと、理由として放送局が自局の電波がどこまで飛んで、どのような受信状態あったのか報告してくれたリスナーに対してのお礼状として始まったともいわれる。

 このベリカード、すべての放送局で発行しているわけではないが、AM局やFMの県域局はもちろん、コミュニティーFMのほとんどがベリカードを発行している。

 そのため各局とも自局のカラーを打ち出すデザインで、自局のアンテナやスタジオを撮影したものや、自局マスコットをカラフルにあしらったもの、海に近い放送局であれば近くの砂浜や近海を撮影したものなどを用意しており、どれも非常におもしろい。そのためラジオが好きな方がコレクション目的でわざわざ全国の放送局を聴きにくる方がいる。

 当局にも先日、四国から新幹線で群馬の高崎駅に到着し、「受信しました」と送ってきた方がいた。コミュニティーFMという地域内放送を行っている放送局だが、遠方より聴きにくる方がいるのがちょっと不思議で、身にあまる光栄であると感じている。








(上毛新聞 2010年6月4日掲載)