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前・ぐんまちゃん家所長  金子 敏男(前橋市上小出町) 



【略歴】沼田市出身。1967年、群馬県庁に入庁。消防学校、前橋行政事務所、東京事務所勤務を経て、2008年から10年3月までぐんまちゃん家所長を務めた。



簡易レセプション



◎交流が商品化のヒント



 「ぐんまちゃん家」勤務時、最も印象深かった仕事の一つが簡易レセプション「サロンドG」です。これは、2階を主会場として、県内自治体、観光協会など、県内のさまざまな団体が、月例に開催しているもので、マスコミ、エージェント、バイヤー等を招待します。時には関係国大使館員や国会議員にもご案内し、市町村長や団体の長が熱心にトップセールスをされています。

 開催する目的としては、コネクションづくりとパブリシティ活動を中心に据えますが、誘客のための旅行企画商品発表や創作郷土料理のリサーチ、新商品のマーケティングなど、主催者のさまざまな期待が込められています。

 招待者側は、東京にいながらにして、地域の最新情報や知られざる魅力を知ることができるメリットがあります。主催者にとっても、専門家から直接、その反応や考え方を知ることは、その後の活動の参考となります。

 プレゼンテーション後は、銀座の夜景を眺め、地元食材を使った郷土料理や地酒を味わいながら、和やかに交歓し、関係を深めています。

 銀座は、調理技術にたけた有名シェフによる世界中の一流料理が味わえるところです。サロンドGで提供するものは、主として、シンプルな調理で、食材そのものの魅力を引き出すような演出をしています。最小の経費で、堅苦しさもなく、本音での交流が好評です。

 「これだけ合理的な営業活動ができたことがない」「今後の活動に自信を持った」「年に複数回開催したい」「次回もぜひ招待してください」などの反応を聞きました。在職中、16回開催しましたが、毎回、50人前後の招待客がお見えになりました。盛況な理由として、銀座の持つ立地条件も一因ですが、招待者への探求心をくすぐる情報提供、地域独特の味に対する魅力、そして、地元ホストの熱意とホスピタリティーが参集者へ強い印象を与えているためと考えています。

 専門家と地元との交流は、差別化した料理メニューの開発、新企画の商品化など、ステップアップするためのヒントが詰まっています。席上、テレビロケ、雑誌・新聞の現地取材が決まる、旅行会社とのツアー企画が始まる、という事例などが多く見られました。ビジネスに結びつくことによって、やる気が増し、地域活性化に結びつくものと確信しています。

 銀座を離れ、群馬に居を戻して3カ月が過ぎました。「ビジネスチャンスを探り、地域活性化を目指す」県内外の方々と、一緒に活動を始めました。今後は、活用する側となってビジネスチャンス創出に貢献したいと思っています。








(上毛新聞 2010年7月9日掲載)