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赤城自然塾事務局長  小林 善紀(桐生市黒保根町) 



【略歴】桐生高校、同志社大商学部卒。「古久松木材」(高崎市)に30年間勤務。1998年から4年間、旧黒保根村収入役を務めた。現在は赤城自然塾事務局長。



エコ活動の人材育成



◎自然を体験する教育を




 環境・エコ活動の重要な一つとして人づくりがあります。環境に配慮した思考・行動原理を備えた人材を育てる活動です。

 2006年から考えを共有する仲間たちが赤城山周辺に集い、38回の準備会を重ねて、09年3月に赤城自然塾を設立しました。

 先進モデルは三井住友がバックの倉本聡氏を中心にした富良野自然塾、トヨタ自動車のトヨタ白川郷自然学校です。これらは大企業によるネイチャースクールですが、我々は企業、市民団体、大学・研究機関、行政による連携の中からの設立。連合艦隊方式によるネットワークです。

 今年度に入り、自立し、持続し、発展していくためにNPO法人化に向かうことに合意しました。

 Field(森づくり/生物多様性の場づくり)、Approach(交流/エコツーリズム)、Collaboration(連携)Education(環境教育/指導者育成)。

 これらの頭文字を取って「FACEプロジェクト」。今年は愛知県でCOP10が開催されます。生物多様性(いのちのにぎわい)の場づくりを強調したいと思います。

 期を一にして、国立青少年振興機構から「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」中間報告が発表されました。子どものころの体験は、その後の人生に影響するか、という調査です。「なんでも最後までやりとげたい」の項目では、子どものころに何度も自然体験をした人の33・6%が「とてもあてはまる」と答え、体験がほとんどない人は22・0%でした。

 他に「もっと深く学んでみたいことがある」「社会や人のためになる仕事をしたいと思う」等、興味深い多くの調査項目があり、概ね自然体験の多少によって差がありました。このことから、自然と遊び、自然に学ぶ「人づくり」を目指す活動に、更なる確信がもてます。

 3月には赤城自然塾の母体となった赤城クリーン・グリーン・エコネットワークの事業として、地球環境基金から3年間助成された「広域連携による環境教育プログラム策定事業」の報告会が実施されました。

 特筆すべきは、赤城山周辺「環境教育プログラム・ガイド」の作成。50のプログラムと36の施設・フィールドのDB化資料が赤城山の立体地図に添えられており、学校現場で役立てていただけたら幸いです。

 我々の仲間は国立赤城青少年交流家やぐんま昆虫の森を始めとして113の団体・個人で構成され、プログラムや施設、フィールド、指導者の紹介・コーディネートをしています。

 事務所は前橋市粕川町のサンデンフォレスト。ここには年間5000人以上の小中学生が自然体験や社会科見学に来ています。








(上毛新聞 2010年7月13日掲載)