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前・関東森林管理局赤谷森林環境保全ふれあいセンター所長 
                           田中 直哉
(千葉県船橋市)



【略歴】大阪府出身。東京農工大農学部環境保護学科卒。農水省林野庁に入り、大臣官房企画室などを経て、08年4月から10年3月まで赤谷森林環境保全センター所長。


赤谷プロジェクトの活動



◎重要なサポーターの力




 赤谷プロジェクトについては、これまで赤谷プロジェクト地域協議会、自然保護団体、国が3者協働で、国有林「赤谷の森」において、「生物多様性の復元」と「持続的な地域づくり」を目標に活動していることを紹介してきましたが、その3者以外に重要な役割を果たしている方々がいます。それは、赤谷プロジェクトの趣旨に賛同して、プロジェクトのさまざまな活動を支援している「サポーター」の存在です。

 赤谷プロジェクトの活動は非常に多岐にわたっています。「赤谷の森」を本来の姿に復元していくための植生調査、哺ほに乳ゅう類や大型猛もう禽きん類の生態調査、渓流環境の復元や地域づくりへの取り組みなど幅広い分野の活動を行っています。これらの広範な活動をカバーするため、サポーターの方々の熱心な活動は、なくてはならないものとなっています。活動は毎月第1土日の「赤谷の日」などに、活動拠点である「いきもの村」に、サポーターが遠く東京や神奈川からも集まって実施されています。

 例えば、ホンドテンのモニタリング調査があります。これは、ホンドテンが雑食性で、日本の森林に広く分布している習性を利用して、ホンドテンの糞ふんを採取し、その食性から森林環境の現況や変化を推し量るものです。昨年はこの植物をよく食べていた、しかし、その前の年は動物性の餌が多かったといった変化が観察できます。その年の気候条件などと照らし合わせると、どのような因子が森林環境に影響を与えたか推察できます。今後も継続的に調査を続け、外的要因と森林環境の変化の関連性が解明できればと思います。

 また、大型猛禽類の生態調査では、酷暑の中、ヤマビルに悩まされながら、酷寒の中、寒さに震えながら、早朝から夕方まで調査を行っています、大型猛禽類は生態系ピラミッドの頂点に位置する動物で、彼らが棲すみやすい森ということは、森林生態系が健全であることの証しなので、特に着目しています。彼らの飛行範囲は広大なので、追跡調査するには多くのサポーターの協力が欠かせません。

 サポーターと地域との交流も深まってきており、サポーターが地域の清掃活動に協力したり、炭焼き技術の伝承のため地元有志と連携したり、地域にとって問題となっているヤマビル対策などにも取り組んでいます。

 同じ群馬県の川場村は、東京都世田谷区と交流事業を始めて30年近くたち、親子ぐるみのお付き合いが生まれ、双方に良い刺激を与えています。サポーターの活動が「赤谷の森」の森づくりのみならず、地域の活性化につながっていくことを願っています。






(上毛新聞 2010年8月30日掲載)