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前・ぐんまちゃん家所長  金子 敏男(前橋市上小出町)



【略歴】沼田市出身。1967年、群馬県庁に入庁。消防学校、前橋行政事務所、東京事務所勤務を経て、2008年から10年3月までぐんまちゃん家所長を務めた。



効果的なパブリシティー



◎継続して誘客活動を




 「テレビの旅番組で紹介され、多くのお客さまがお見えになります」。マスメディアによる観光施設の集客効果は、数多くの事例があり、パブリシティーの有効性を示しています。昨年、県企画部は、テレビで紹介された観光地・観光施設を訪れた観光客にアンケート調査を行って、実績を裏付けしています。このパブリシティー効果を一過性のものとしないためには、さらなる仕掛けとして、活字媒体やエージェントへ積極的に情報提供をするなど、継続的な誘客活動が求められます。

 それでは、県外で実施するキャラバンやキャンペーンは、誘客にどのくらい効果が期待できるのか。活動する側にとっては、命題ともいえるものですが、活動終了後、その効果測定は難しく、データがほとんど見当たりません。

 そこで、県内のテーマパークの支援を得て、県外で開催されるイベントに参加して、レスポンス(反応)を調査してみることにしました。千葉県や埼玉県で、施設の期間限定の入場招待券を配布し、その回収状況を数値化するとともに、アンケートを実施して、今後における誘客戦略の基礎データとするものです。

 5月下旬、千葉県幕張メッセで開催された「旅フェア2010」での活動結果は、7月末日で見てみると、レスポンス率1・7%でした。この数字は高いとはいえませんが、誘客に有効であるかどうかは、1回だけの活動で結論付けるものではないと思います。誘客活動に継続して取り組み、よりレスポンス率を高める努力が必要です。今後の取り組みとして、キャンペーンのアピール度を増すためのノウハウを積み重ね、近隣の観光施設や体験施設などと連携して活動していけば、より高い集客効果が期待できるのではと考えています。

 集客の難しさは観光地や観光施設のみならず、中心市街地や商店などにも言えることです。銀座のあるデパートの担当者から聞いたものですが、一般的な売り出し用ダイレクトメールにおけるレスポンス率は10%をかなり下回るそうです。お客さまの要望が多様化・高度化しており、経験と勘に頼るだけでは誘客が難しく、新たなノウハウの蓄積が必要とのことでした。

 先日、都内の大手旅行エージェントと、赤城山とその周辺のツアーの可能性や課題について、話す機会がありました。エージェント側から年間に万人単位の送客をしてもらうためには、魅力ある食事、オンリーワンの情報提供、複数の観光資源の提案を要求されました。誘客には、地域全体が連携して受け入れ態勢を整え、取り組まないと、エージェント、つまり観光客の期待に応えられないとあらためて痛感しています。







(上毛新聞 2010年9月7日掲載)