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前・ぐんまちゃん家所長  金子 敏男(前橋市上小出町)



【略歴】沼田市出身。1967年、群馬県庁に入庁。消防学校、前橋行政事務所、東京事務所勤務を経て、2008年から10年3月までぐんまちゃん家所長を務めた。



観光客の受け入れ



◎必要なもてなしの訓練



 「伝統ある夏祭りに県外からも誘客をし、地域の活性化につなげたい」との構想を、ある市会議員から伺いました。地域文化である祭りは、伝統的、精神的な祭礼で、ハレの日のハレの舞台です。したがって、地域の人々が自らから楽しむ色彩が濃く、多人数の観光客の受け入れには、細やかな対応に手数がかかるため、態勢づくりが難しいようです。

 以前、大手エージェントへ「群馬の夏祭りツアー」を提案したことがあります。県内数カ所のお祭りに興味を持ってもらえましたが、残念ながら、地元の受け入れ準備が間に合わず、商品化できませんでした。

 地域経済を活性化するために、観光を切り口にして、交流人口を増やそうとする流れが顕著に見られます。県内の花火大会の中にも、桟敷を設けるなどして、積極的に県外からも誘客しようとの動きが始まりました。全国の有名花火大会の仲間入りを目指しています。ツアー企画の検討を始めたエージェントもあって、これからの可能性を秘めています。

 既に、草津国際音楽祭、伊香保ハワイアンフェスティバルは、全国のファンに認知されています。開催期間中は、宿泊場所の確保が容易ではないほどのにぎわいが見られ、新規顧客層の開拓手法が、観光ビジネスモデルとして注目を浴びています。観光には無縁と思われていた大泉町には、サンバなど、「ブラジルの異文化と暮らし」を体感するツアーが好評で、県内外から多くの観光客が見えるようになりました。

 しかし、関係者が努力しても、期待する結果が得られない事例が多く見られます。観光客は移り気です。美しい景色は一度見ればしばらくはもう訪れなくもよいと考えている人が多くいます。付加価値を創造し、新たな魅力づくりをしても、必ず評価が高まるというわけではありません。

 持続的に発展するには、リピーター創出が大きな要素です。交流の中から観光客の心が共振し、増幅するホスピタリティーが求められています。観光業だけでリピーターを作り出せるものではありません。観光客と接するすべての人にもてなしの気持ちが必要です。

 最初から完ぺきな受け入れ態勢の準備は困難です。お客さまが継続的にお見えになることによって、ホスピタリティーが磨かれ、次第にノウハウができて、新たなアイデアも生まれてくるものと思います。まず、誘客して、もてなしの訓練を始めましょう。

 来年7月から始まる群馬デスティネーションキャンペーンをビジネスチャンスととらえ、県下全域で観光資源の掘り起こしが行われています。新たな魅力をアピールし、受け入れ態勢がより整備され、観光客への感動創造が提供できるよう期待しています。







(上毛新聞 2010年10月31日掲載)