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太田商工会議所専務理事  松田 賢治(桐生市新里町)



【略歴】旧笠懸村生まれ。桐生高、法政大卒。1967年に太田商工会議所に入所。事務局長、常務理事を経て2005年から現職。地域の中小企業支援に力を注ぐ。



商工会議所の使命



◎地域経済の活性化図る



 NHKの大河ドラマ「龍馬伝」、そして「坂の上の雲」と、最近江戸時代末期―明治維新のドラマが目に付きます。現代社会が明治維新、そして戦後のように大きく変化している時代であるからかもしれません。政治も今、自民党から民主党へと政権が代わり、政策も大きく変わってきているようです。

 商工会議所は明治維新の激動期に創設されました。その歴史をたどると、幕府の力が弱体化した幕末、英国や米国等の圧力に負け不平等条約を結ばざるを得なかったことが分かります。

 明治時代に入り、伊藤博文らは英国公使のパークスに「国民世論が不平等条約を改正せよとの声が高まっているので、条約改正をしたい」と迫りましたが、「国民世論が…と言うが、日本には国民の意見を聞いたり、協議したりする場がないではないか」と反論されてしまったそうです。

 明治政府は直ちに条約改正促進のため、経済界の世論を代表する組織を設立すべく、関係官を欧米諸国に派遣して商工会議所制度の実情を視察させ、財界の有力者たちに商工会議所的組織の設立を勧めました。(当時は商業会議所)

 当時、財界でも事業経営上の相互連絡と協力の必要性が提唱されていた折でもあり、すぐに各地で商工会議所の開設準備がスタート。1878(明治11)年、渋沢栄一により東京商法会議所が、続いて五代友厚が中心となり大阪商法会議所が設立されました。翌年には横浜・福岡・長崎が、81年までに全国で34の商法会議所が設立されました。

 群馬県では高崎が95(明治28)年、前橋が98年、そして桐生が1940(昭和15)年、伊勢崎が46年、太田は47年です。

 商工会議所の使命は「商工業者の総合的な改善を図り、社会一般の福祉の増進に資し日本の商工業の発展に寄与する」とあります。この使命を達成するため、県内の商工会議所は商工業者に対し、金融、税務、経営等の相談支援、そして、祭り、街づくり等の事業を積極的に実施し各地域の活性化に努めています。

 また、県内10の商工会議所が一体となり会員の要望や意見を聞く議員大会を開催、決議事項を地元選出の国会議員、知事、各市の市長へ陳情しております。

 決議事項とは中心市街地の活性化、特産品の宣伝活動、雇用安定対策、交通軸構想等地域経済が元気になるための政策の提案です。

 円高、デフレ等で中小企業は厳しい状況におかれており、これからますます商工会議所の使命は重要視されてくると考えられます。

 現在、県商工会議所連合会を中心に県内10の商工会議所が連携し、中小企業そして地域経済の活性化に取り組んでいます。県民の方々に商工会議所を理解していただき、活動への参加、支援を期待いたします。









(上毛新聞 2010年12月9日掲載)