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群馬ダイヤモンドペガサスマネジャー  谷口 弘典(高崎市貝沢町)



【略歴】北海道出身。札幌西高、高崎経済大を卒業後、米独立リーグで捕手としてプレー。NPB千葉ロッテマリーンズのチームスタッフを経て2008年から現職。


夢の実現



◎愚痴言う前に努力を



 2010年10月17日、群馬ダイヤモンドペガサスの3年目のシーズンが幕を閉じた。1年目にBCリーグ(ベースボールチャレンジリーグ)準優勝、2年目はBCリーグ優勝。しかし、BCリーグ代表として挑んだ独立リーグ日本一決定戦(グランドチャンピオンシップ)で敗北。今年度は昨年の雪辱を胸に3年目での日本一を期したシーズンであった。結果はBCリーグチャンピオンシップでの敗退で準優勝。選手の実力が付き、日本一を狙えるチームとしてまとまってきただけに余りにも早すぎるシーズン終了だった。選手が「もぬけの殻」状態に陥ってしまうのも無理はない。

 BCリーグ選手個人の目標は、限りなく100%に近い者がNPB(日本プロ野球機構)を目指している。私は自分の経験も踏まえて、選手の本気度をみる観点がある。どんな社会でも言える事であろうが、愚痴や言い訳が出ているうちは、まだまだ中途半端であるし、いい加減の次元である。自分が属する組織の中で、学校にしろ、会社にしろ、不満のレベルはあるにせよ、不満・不安のない社会など皆無である。

 本気で野球で生きて行くと決めたなら、愚痴や言い訳の前に、顔つきや言動が変わり「知恵」が出て来なければならない。試合に出られなくて不満を言う選手・環境に愚痴を言う選手、試合に出るための努力や工夫もせず、試合に出られる新天地を探そうとする。甘い!このチームで試合に出られないようだと彼らが望んでいる夢など到底叶(かな)えられるわけがない。同様に練習環境は自分で作りあげるもの。不満から逃げるのではなく、向き合って生きなければ社会では通用しない。

 私は群馬の大自然が好きである。壮大な山に囲まれ、日本の四季を感じられる気候。プロ野球の世界で選手・スタッフで通算8年が経ったが、くしくも私が一番好きな紅葉の時期に毎年戦力外通告が行われる。真っ赤に染まる紅葉のように毎年毎年燃え尽きて1年を終えてもらいたい。半面、紅葉を見る度に、またこの季節がやってきたと寂しい思いをする。いやな時期である。プロ野球界を去っていく者に悔いを残してもらいたくはない。と同時に新しくスタートする人生では必ず成功して欲しいと願う。

 今年は群馬にとってうれしいニュースもあった。ベネズエラ出身のフランシスコ・カラバイヨ選手のオリックスバッファローズ入団とロバート・ザラテ投手の阪神タイガース入団である。これでNPBからの注目度が大きくアップしたのは間違いない。

 さらにうれしかったのは、某球団の編成担当者に「カラバイヨはどんな打球を打った時でも一塁まで必ず全力疾走しているよ」と言われたことだ。








(上毛新聞 2010年12月11日掲載)