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整理収納アドバイザー  山口 智子(前橋市上小出町)



【略歴】福岡県出身。本県で初めてNPO法人ハウスキーピング協会認定整理収納アドバイザー1級を取得。お片付けスクールシークエンスを起業し、講座を開催。


収納整理の基本



◎物との付き合い方から



 女性は子育てが一段落したとき、自分の存在価値を再確認したくなります。そのひとつに社会復帰があるのではないでしょうか。私もそのような漠然とした思いを抱えながら日々を過ごしておりました。

 そんなある日、整理収納アドバイザーという資格があることを知りました。メディアで整理収納の需要が何年も維持していること、私自身、子供のころから片付け好きだったことも高じ、迷いもなく資格取得の道を選びました。自ら負荷をかけるとモチベーションは意思とは関係なく上がり続けます。まもなくして創業を視野に入れ始めると、同じ志を持つ、女性たちに出会いました。目指す先は違えどはっきりとしたビジョンを持つ彼女たちに刺激を受け、さらに私のモチベーションは高まりました。専業主婦をしていては決して出会うことのなかった世界に一歩足を踏み入れた私は、まだまだこの先にある刺激的な世界や可能性に胸が高鳴るばかりなのです。

 今は「お片付けスクールのシークエンス」として仕事を始めたばかり。10月に県民カレッジ県民企画型講座の講師として整理収納の基本のお話をする機会を与えられました。定員50人に対し100人を超えるお申し込みがあり、いかに多くの方が持て余すほどの物に囲まれて生活しているか確信しました。都内に比べ敷地や家が広い群馬県では、整理収納に対して関心が低いのでは、と思っていました。事実、整理収納アドバイザー1級資格者は全国約1000人に対し、群馬県の取得者は1%未満です。物を多く持つこと=豊かという時代は終わりました。このまま放置すると居住スペースを物に支配されていくばかりなのです。

 でもそれを改善しようと多くの人は収納の技を磨こうとします。実は、整理ができていれば収納に困ることはないのです。物との付き合い方を見つめ直さない限り整理さえもできません。小学校3年生の国語の教科書で分類を習います。整理収納の本当の意味を体で覚える絶好の機会でありながら学校の授業ではそこまで深くは踏み込みません。

 学校の教室が整然としているように家庭でも職場でも同じ仕組みを作ればよいだけなのです。物の整理は心の整理と言われます。物の本質が見え、結果心にゆとりが生まれます。

 家庭で習得することが少なくなったと思われる片付け。ぜひ学校教育で整理収納術を取り入れてほしいと願うばかりです。

 群馬県民の方々に新たな気づきをもたらすためにも、繰り返し整理収納の基本講座を開催していこうと思っております。








(上毛新聞 2010年12月17日掲載)