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イルミネーションデザイン・企画  斉藤 任俊(太田市鶴生田町)



【略歴】渋川市出身。米サンフランシスコ大卒。添乗員の傍ら、イルミネーションをデザイン、企画する。2008年から太田市でのイルミネーションを手掛ける。


次世代照明



◎注目される革新性



 LED照明は消費電力の低さを最大の特徴とし、環境意識の高まりを背景にオフィスや店舗を中心とした室内照明に広まってきました。先進諸国に限らず、中国を中心とする新興国でもLED照明市場への期待度は高まっています。

 最近は地方銀行も環境配慮を強め、取引企業が地球温暖化対策に取り組む際の設備投資資金の金利を優遇する融資を始めた銀行も出てきました。二酸化炭素削減目標を達成した企業に対する融資で、3%を上限に最長3年間無利子とするものです。企業が省エネルギー型のLED照明等などの二酸化炭素削減につながる設備を導入する際の融資が対象で、3年以内に二酸化炭素排出量を6%削減するなどの目標を達成する必要があり、目標を達成した企業に対して国が金融機関を通じて利子を補給する仕組みです。

 企業がいろいろな取り組みをしている半面、家庭用のLED電球の電球販売全体に占めるシェアの伸びが停滞しています、価額が下落し値ごろ感が出たことで、販売数そのものは伸びていますが、10年程度は交換不要という利点が持ち家層以外には響きにくく、賃貸住宅派は、「いずれは引っ越すので、消耗品の電球は安いもので十分」と話しています。

 最近、有機ELという言葉を目にする機会が増えています。液晶に変わる次世代ディスプレーとして注目され、携帯電話やスマートフォンで実用化され、次世代の薄型テレビの本命として期待されています。先日、日本人2人を含む3人の方(根岸栄一氏、鈴木章氏、リチャード・ヘック氏)がノーベル化学賞を受賞されました。

 今回のノーベル化学賞の受賞の理由ですが、パラジウムを触媒として混ぜることで、2種類の有機物の炭素骨格をつなぐ方法で新しい有機化合物を作ることに成功したのです。

 その発明が多様な工業物質製造に必須であると評価されたためでした。その有機化合物ですが、プラスチックや医薬品など1000種類を超える新製品に適用されています。

 ところで、有機ELの照明も、今回のノーベル賞授与対象の有機化合物によって発光しています。とりわけ照明の分野においては、エジソン以来の発明とも称されるほど、その革新性の高さに注目が集まっています。

 今後、LEDや有機EL照明の技術開発のハード面だけでなく、いかに快適照明を創り出すかのスキルやソフト、アプリケーションが大切だと思います。







(上毛新聞 2011年1月13日掲載)