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◎幅広い活動で切磋琢磨 鳥になって、澄みきった空から川柳の世界を展望してみましょう。 例えば、新聞・雑誌の川柳欄やテレビ・ラジオの番組の川柳募集。また「サラリーマン川柳」のような企業や団体によって募集される、いわゆる公募川柳。インターネットの検索でも数多く見いだせます。社会的な広がりを持った風景です。かなり以前から川柳がブームと言われているのも、マスコミの募集する川柳や公募川柳の活況に負うところ大でしょう。 その隣に目を移せば、国民文化祭や全日本川柳協会(日川協)などが主催する全国規模の川柳大会のほか、各地の川柳の会が主催して一般募集する数々の大会や句会の風景。この中には、いわゆる誌上句会もあり、会場に足を運ばなくても楽しむことができます。 方角を変えると、川柳の愛好者が集まった会(クラブ)や主宰者がそれぞれの理念に基づいて指導する結社が見えます。恒常的に川柳の活動を行う団体ごとの“場”の風景です。 また古川柳研究会や川柳学会など、専門的な研究を行う場もあります。 川柳関連の文化にも目を向ければ、色紙や短冊に川柳を認めて楽しんだり、川柳画と称し川柳の狙いを絵(漫画)にするほか、写真や絵手紙に川柳を添えたり、それらを地域の文化活動の一環として展示会を行ったり…と多彩な風景が開けています。 出版の分野には、結社の専門誌や唯一の川柳総合雑誌といわれる「川柳マガジン」があり、各種の投句欄を設けるほか、全国各地の関係情報が掲載されています。また句集や入門書、評論・解説、エッセイなど、多くの書物が目白押し。 さて、こういう川柳の世界に分け入ってどういう楽しみ方をするか、梢(こずえ)に羽を休めて考えてみましょう。 おおむね、(1)新聞・雑誌等へ投稿、公募川柳へ応募(2)各地の川柳大会などに参加(3)特定の会(クラブ)や結社に所属して活動―の3パターンでしょうか。でも一つのパターンに徹する例はまれ。誰しも温度差はあれ、すべてに関わっているのが実態でしょう。私も時間、体力、気力、寒い懐具合の許す範囲でそうしたスタイルをとっています。 結局のところ、これでなければという楽しみ方はありません。フリーの立場で活躍している人も多い。ただ、いずれはこれと思う会や結社で同好者との切磋琢磨(せっさたくま)を軸にしつつ、主体的に幅広く活動する方が楽しみは倍加するでしょう。 さまざまな楽しみ方のできる川柳は、その工夫も含め、分け入れば素敵なワンダーランドといえます。 終わりに『川柳入門事典』(全日本川柳協会編、新葉館出版刊)を紹介しておきます。簡潔な叙述がこのワンダーランドを楽しむ道しるべとなるでしょう。 (上毛新聞 2011年1月22日掲載) |