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奈良ADHDの会ポップコーン教育相談員  西田 清(奈良県橿原市)



【略歴】東吾妻町矢倉出身。岩島中、渋川高、奈良学芸大卒。奈良県内の小学校、養護学校に勤務。奈良自閉症協会、奈良ADHDの会事務局長を経て現在教育相談員。


軽度発達障害児の教育



◎早期発見で療育支援を



 エジソンやトムクルーズ、そしてノーベル賞受賞者の中にもADHD(注意欠如・多動性障害)やLD(学習障害)、アスペルガー(知的障害のない自閉症)等の軽度発達障害の人がいます。これらの人が能力を十分に発揮していることや、保護者の子育ての苦心と喜び、教育の実践を、これから紹介する予定です。

 保護者と医師と教師が協力して才能を開花させた取り組みから得た教訓は、健常児の子育てにも大いに役立つ内容です。

 ADHD等の発症について、児童精神科医の星野仁彦著『発達障害に気づかない大人たち』(祥伝社新書)では「軽度発達障害は子供の6~12%存在する。7割以上は思春期以降に不登校や二次障害を示してから発見される」と述べています。早期発見と早期治療、適切な子育て、保育と学校教育が重要です。

 診断は医師が行います。私たちは保護者・医師・教師の三者で軽度発達障害の会を結成。知恵と力を集めて10年以上前から活動を続けてきました。医師の診断と薬物治療、ペアレントトレーニング(両親教育)をすることで、療育活動と適切な子育て、支援教育ができます。その結果、今では高校や専門学校、大学に進学したり、就職、結婚、子育てと、予想以上にうれしい発達をとげていますが、手の届かない人が思春期に不登校や暴力行為等の二次障害を起こすのを聞き、はがゆい思いもしています。

 軽度発達障害は二つに分けられます。一つは女子に多い不注意型。もう一つは男子に多い多動・衝動性型です。7歳以前に家庭や幼稚園、学校等の2カ所以上で次の項目のうち六つ以上が該当する場合は、児童精神科医にADHDかどうか相談してください。私もホームページ(URL htpp‥//homepage3.nifty.com/naraadhd/)で受け付けています。

 まず不注意型。(1)身の回りの整理整頓が苦手(2)人の話を聞いていない(3)行動の優先順位が分からない(4)忘れ物が多く物をよくなくす(5)宿題を忘れている(6)うっかりミスや計算違いをよくする(7)授業中手遊びなどが多く集中するのが難しい(8)注意が散漫(9)熱中すると他のことが目に入らない。

 もう一つの多動・衝動性型。(1)落ち着きがなく着席しているのが苦手で離席してしまう(2)授業中でもパトカーや救急車が通ると見に行ってしまう(3)貧乏ゆすりや手遊び、座っていても体のどこかが動いている(4)先生の話や質問が終わる前にだしぬけに発言して答える(5)総合的に判断できず友達の一言を誤解してトラブルを起こす(6)課題の途中で思いついたことを突然するので課題を達成できない(7)順番が待てない(8)1番でないと機嫌が悪い(9)授業中おしゃべりが止まらない。

 項目は以上です。








(上毛新聞 2011年1月27日掲載)