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◎プライド持って作ろう 19歳の時に単身英国に留学をした時から20年以上が経過した。憧れる先輩を超えるために何かをしようと考え始め、語学を学ぶことが必要だと単純に思って海を越えることを決意したのである。 計画も中途半端でまったく語学力がなかった自分にとって、英国での生活はとても厳しいものだった。毎日がとても長かったのを今も覚えている。しかし、このままでは前に進めないと思った時からホストファミリーのクリフに、毎日パブに連れて行ってもらい酒と英語を学んだ。 現地の人間しかほとんどいない状態での強制レッスンは私には向いていたのかもしれない。何を頼むにも、何かを聞くにも自分自身で乗り越えなければならない。そうした環境が心の強さを育て、性格をより一層前向きにさせたのである。 23歳で日本に完全に戻って来るまでには、小さな島国である日本を遠い英国から客観的に見るように自然になっていた。これは今までの自分自身の経験の中で一番大きなことなのかもしれない。 今では自分の意見と、外から客観的に見た意見を交えながら、ものごとを進めるようなことが身に付いている。少ない経験の中から食という視点で考えてみると、文化の違いがあるもののヨーロッパ地域の多くの人は自国に対してプライドが高い。そして愛国心が強い。それがカッコイイのであるが、料理文化もフランス料理、イタリア料理、ドイツ料理は主張が強い。 他の国にも特徴のある料理がある。自国の料理を主張することも国が元気になる上で必要だと、これらの国の人たちは理解しているように感じられる。日本にいると、日本料理とは懐石料理。すし、そば、うどんなどたくさんの種類が出てくるが、国民が日本料理の代表はと聞かれた場合、そう簡単に答えを見つけることはできないだろう。 群馬県民は代表的な群馬料理と聞かれたらなんと答えるのだろう。私は自分が聞かれたら田舎料理と曖昧(あいまい)な答えを言ってしまうかもしれない。東京に近いからとりあえず何でも手に入る。しかしそんな安直な考えを捨てて、群馬県にも代表的な料理があったらもっと発表し合うべきである。なければ作るべきである。 県外から見て、おいしい野菜や肉もある。全国的に有名な嬬恋キャベツや下仁田ネギ、こんにゃくもある。なぜ、これを合わせた県料理ができないのか。もしくは有名にしないのか。人に頼るのではなく、群馬県民のプライドをもって自分たちで乗り越えるしかないと思う。 近い未来に「こんなにうまい群馬料理があるだんべ」とみんなで言い合えるようなものができると信じている。 (上毛新聞 2011年1月30日掲載) |