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藤岡市鬼石商工会事務局長  秋山 博(藤岡市岡之郷)



【略歴】日大法学部卒。1978年に中里村商工会に就職した後、県商工会連合会と赤城村商工会での勤務を経て2001年4月から現職。行政書士などの資格も持つ。


商工会の合併に向けて



◎補助金依存から脱却を



 平成の行政大合併が一段落したところで、今年あたりは、商工会の合併話が県内を沸かせるのではないでしょうか。と言っても、商工会について知らない人がほとんどだと思いますので、その辺のところを少しかいつまんでお話ししてみようと思います。

 商工会は1960(昭和35)年に国の法律(商工会の組織等に関する法律)に基づいて設立された特別認可法人で、おもに町村部に設立された公益的地域総合経済団体です。もちろんこの法律以前にも商工会と名のつく団体はありましたが、それは民法に基づいて設立された社団や事業協同組合で、根拠法として確立されたものではありませんでした。

 当時の事業としては産業祭や地域の祭り、中元や歳暮の大売り出しなど季節ごとのイベント事業や街路灯設置などハード事業も手掛けており、商工業振興の担い手として存在していました。

 それが法制化で、それまでの商工会の性格はそのまま引き継がれることになり、地域商工業の総合的な改善発達を図る経済団体として位置付けられたほか、国や県の助成(補助金)を受け、地域内の小規模事業者、特に町工場や小さな商店等に対し、生業から企業化への経営改善と発達のため指導する団体として指導・相談が付与されました。

 以来50年、ここに来て商工会を取り巻く環境は外部からも内部からも大きく変貌しています。その一つに商工会の合併が挙げられます。長引く不況で国や県では歳入に不足が生じ、商工会への補助金を減らさざるを得ず、当然ながら収入の半分以上を補助金で賄っている商工会にあっては、財政逼迫(ひっぱく)を受け、財政難による存亡の危機が発生しようとしています。

 さらに、今回の市町村合併で、これまで町村部に一つしかなかった商工会が今回の合併で1市に複数誕生することになり、補助金を出す市側からすれば、運営の合理化のため、商工会同士の合併を唱えてくることは当然予想されます(法律上、商工会議所とはできない)。

 こうした環境の中、商工会と商工会連合会は大改革元年と称し、今年から商工会合併を進めていきますが、その改革基本構想によると、3、4年のうちに県内48カ所ある商工会を16カ所にまとめようとするものです。しかし、合併までには幾多の障壁も予想されます。したがって無理せず、地元会員の意向を十分に聞き入れ、準備の整った商工会から合併を進めればよいと思います。その際は職員の数も増えますのでこのマンパワーを活用し、補助金依存体質から脱却を図る商工会へ変貌できれば、意義ある商工会合併となるでしょう。






(上毛新聞 2011年2月9日掲載)