視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
.
医師・大塚製薬健康推進本部長  佐藤 和子(高崎市片岡町)



【略歴】桐生市生まれ。桐生女高、福島県立医科大卒。麻酔学や医化学を研究し、兵庫県立尼崎病院心臓センター、国立循環器病センター勤務を経て1987年から現職。


栄養素の整った食事



◎体調改善し生命力増す



 食事を定量化して栄養素分析(「ミラー」と呼ぶ)をすると、栄養素の過不足の多い人ほど体調をくずしていることがわかる。しかも遅寝で睡眠不足の人が多い。そこで栄養素を整え、生活リズムも早寝早起きに改めると、体調が良くなり生命力が増す。不妊症や流産もこれによって解決する。事例を紹介する。

 【事例1 不妊症・37歳】結婚して5年、不妊治療に3年取り組んだが、精神的にも身体的にも限界がきていた時、私どもの「正しい食生活」学習会と出合い、「ミラー」を受診。学習により改善したのは、睡眠と食事。就寝午後11時30分↓同8時30分、起床午前7時5分↓同5時10分、食事の栄養素の不足(ビタミンB1、B2、C、鉄、カリウム、カルシウム、食物繊維)の解消、昼食が軽く夕食偏重↓毎食均等、食事の時刻と所要時間は、朝食午前7時30分(5分間)↓同6時50分(35分間)、昼食午後0時30分(5分間)↓同0時(30分間)、夕食午後9時30分(30分間)↓同5時30分(35分間)。その結果、不定愁訴15個↓1個、持続症状11個↓1個、便秘は週3日↓無し、やる気はだいたいある↓ある―となり、明らかに体調は良くなった。

 一方、夫は私の講演会に参加してから納得して2食分のお弁当を持参して、食事の時刻も適切にするなど「正しい食生活」を実践したところ、半年後には白髪が黒くなり、月に1回の風邪は全くひかなくなり、イライラがなくなり元気になった。夫妻で取り組み始めて1年後、不妊治療を止めて半年がたち、体調がとてもよくなり、不妊の原因の一つであった子宮内膜が厚くなり、薬も全く必要なく自然に妊娠できる体になり、元気な男児が誕生した。

 【事例2 習慣性流産・30歳】結婚4年目でやっと妊娠したものの妊娠5カ月目(19週)で破水してしまい流産。その後またすぐ妊娠したが、それもすぐ流産。しばらくは産婦人科に通院したが、通院を止めた。そんな時「正しい食生活」の講座を知り、参加。まず、「ミラー」を受診。睡眠と食事の誤りをすぐに改善。就寝午前1時↓午後10時、起床午前6時30分は変わらず。便秘は週5日↓2日へ。朝食はパンと牛乳だけで、昼食も軽く、夕食にはビール500ミリリットルも加わっていたが、栄養素の不足(タンパク質、ビタミンB1、B2、C、ナイアシン、鉄、カリウム、カルシウム、食物繊維、炭水化物)が著しかったので、毎食を「栄養素の整った食事」に改善した。3カ月の講座を終了して、すぐ妊娠していることがわかり、結婚7年目にして元気な男の子を出産。その後すぐに2人目を妊娠し、年子で女の子を授かった。

 このように健康は「正しい食生活」に支えられているので、結婚前の学習を提言したい。






(上毛新聞 2011年2月12日掲載)