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◎判断委ねる重要な存在 19シーズン目のJリーグが3月5日に開幕。12月3日の最終節まで熱い戦いが繰り広げられる。この時期は選手、チーム、クラブをはじめ、ファン・サポーターも大いなる期待と少しの不安が入り交じった何とも言えない緊張感の中にある。 できれば全試合勝利したいし、してほしい。良い試合をしてもらいたいと願うのはみんな同じであろう。ファン・サポーターを魅了するサッカーとは何か。チーム戦術や選手のよいパフォーマンスだけでは成り立たない。レフェリーの存在なくして試合はできないのである。 レフェリーも選手同様、シーズン開幕に向けてトレーニングを積み、しっかり準備をして試合に臨む。2011シーズンのJリーグ担当審判員(J1・J2)登録は106人。その中で新たに11人がJリーグ担当になった。その11人には「ワールドカップのピッチに立ちたい」という大きな夢を持って臨んでほしい。昨年のワールドカップ南アフリカ大会にも、日本から西村雄一レフェリーと相楽亨アシスタントレフェリーが参加し、世界からも高い評価を得ている。目標が近くにある環境を生かしてほしい。 「将来、ワールドカップに出たい」という大きな夢を持って19歳(大学生)からレフェリーの道に進み、夢を実現させて、フランスワールドカップのイングランド対チュニジア戦の笛を吹いた岡田正義氏が、昨シーズンで33年間務めたレフェリーのユニホームを脱いだ。体調管理はレフェリーにとっても非常に重要な要素であるが、年齢を重ねると筋肉系のけがが多くなり、ベストコンディションを維持することが困難になったというのが一番の理由であるとのことだ。心からお疲れさまと言わせていただく。 レフェリーはミスをしないのが当たり前で、ミスをすると責められる。割に合わない仕事に見える。そこで、もっとみんなでレフェリーのことを理解するよう努力しなければならないと思う。そもそも、レフェリーを審判と訳していることが誤解される要因と考えられる。「事件を審理し、判決する」白か黒か決める人のイメージが強い。 Refereeはrefer(任せる)からきている。選手同士では判断できない場面があるので、お願いして第3者に判断を委ねるようになり、レフェリーの存在がある。このことを理解すれば、選手がレフェリーに文句を言うこと自体が矛盾するので、そのような行為はなくなるだろうし、サッカーそのものがより良いものになっていくと思う。「スポーツ」に適切な日本語訳がないのと同様、「レフェリー」もそのまま使用したいものである。 (上毛新聞 2011年3月11日掲載) |