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県防犯協会専務理事  岡 正雄(前橋市下石倉町)



【略歴】中央大法学部卒業後、1974年に拝命。伊勢崎署長、犯罪抑止対策実施本部長を経て退職。2008年4月から現職。県安全安心まちづくり推進協議会委員も務める。



青色防犯パトロール



◎FM活用して情報発信



 財団法人群馬県防犯協会(四方浩理事長)は「防犯意識、防犯対策向上のための普及・啓発、広報事業」を推進している。役割はボランティア団体を結集し、その推進母体になること。平成16年の犯罪防止推進条例が施行されて以来、随所で自主防犯パトロールや子供の見守り活動が盛んだ

 特に、青色防犯パトロール車(正式には青色回転灯装備車以下「青パト」という)を駆使してのパトロールは頼りになるし、効果もあって、評判も良い。県内では、青パトが初めて登場したのは、平成16年末からだ。現在では、166団体に823台も登録されている。また、青色防犯パトロールを実施するには、一定の講習を受講した人に交付されるパトロール実施者証を所持していることが条件だ。実施者証の交付を受けている人は、県下全体で約1万9千人いる。

 青色防犯パトロールを実施している人たちから「パトロール中にリアルタイムの情報が欲しい。情報の伝達装置のようなものはないか」と要望を受けることがある。中には、情報伝達用に携帯電話の一斉メールを活用している団体もある。

 そんな折、ことし1月21日に地域のコミュニティ放送局として「まえばしCITYエフエム(M・WAVE)」が開局した。既に地域に密着した前橋市全域をカバーする放送が始まっている。そこで地域密着情報を発信できるコミュニティラジオの特性を安全安心まちづくりに活用させて欲しい旨を依頼した。幸い快諾をいただき、考えたのが「青パトのネットワークを構築し、情報の共有化を図ろう」ということ。

 早速、青色防犯パトロールを実施している前橋市内の防犯ボランティア団体等に意向を打診したところ、多くの団体代表者等から賛同をいただいた。付けた名称は「青パトネットワーク」。当面は19の団体に所属する87台の青パトが参加する予定。

 具体的には、犯罪や事件の際に警察へ直接通報する情報はもちろん、警察への情報提供が優先する。それに至らないような情報を入手したときは、メールまたは電話でM・WAVEへ情報提供する。提供を受けたM・WAVEは、警察から提供された情報も含め、必要な情報は、即放送し、そうでない情報は、時機を見てタイムリーに放送する。つまり、パトロール中にM・WAVEを聴いていれば、前橋の生きた安全・安心情報を念頭に入れた多角的なパトロールができる。

 3月中には青パト使用の情報収集・発信団体の委嘱を行い、正式に「青パトネットワーク」を構築する。当協会としては、FMラジオを活用した新しい形の情報発信事業として社会実験的に実施することとした。関係者に感謝しつつ、大きな成果を期待したい。








(上毛新聞 2011年3月16日掲載)