視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
.
「食で高崎をGENKIにする会」事務局長  平児玉 博樹 (高崎市中居町)



【略歴】明和県央高卒。英国生活を経て、飲食店や結婚式場を展開する「ティー プロダクト」の社長。任意団体「食で高崎をGENKIにする会」事務局長も務める。


様変わりする結婚式



◎家族ら少人数で簡素に



 ブライダル業界に入って約15年、独立してやっとスタート台に立てた10年目。結婚のあり方について、あらためていろいろなことを考える。結婚とは人生の節目という人もいるが、私は人生をリセットしてスタートするチャンスと考える。1人の力が倍以上に増えるのだから。

 ここ数年、日本では初婚年齢が上がり、2007年のデータでは男性がとうとう30歳(女性は28歳)を超えた。50年前から約5歳(女性は約4歳)もプラスになった。そして、出会いのデータで長年首位を守ってきた「職場恋愛」が「友人、知人紹介」にその座を譲り渡した。結婚年齢の高齢化に伴い、多くの可能性が考えられるようになり、結婚式のスタイルも大きく変わってきた。

 結婚が決まれば結婚式場に行くという構図から、おいしい食事を目的としたレストランウエディングや一軒家貸し切りのゲストハウスウエディング、写真だけきちんと残そうとするフォトウエディングなど、さまざまなスタイルが登場した。

 その一方で、結婚式を挙げない人たちも出てきたのである。その中でも、したくないと考える人とできないとあきらめている人がいるが、一部心残り層の方に思い切ったシンプル結婚式を提案すると、これがびっくりするほど人気を集めた。

 「ちょこっと結婚式」と名付けたこの結婚式は、平日に家族など数人で式を挙げるスタイルで、終了後簡単な食事をして解散になる。リーズナブルな金額も魅力だ。もちろん再婚の人が増えたのも原因だと思うが、もっと簡単に式を済ませたいけれど写真だけは残しておきたいと考える人が多くなったのかもしれない。

 招待したくない人まで招待しなければいけなかった時代から、自分たちにとって本当に大事な人を招待する時代に変わり、自分たちだけで軽く式を済ませてしまおうという考えが生まれてきた。冠婚葬祭業は派手に、と何となく偽りの中で語られていたことが、本来の目的や趣旨に沿ってきたのではないかと感じている。

 これからは自分たちに合ったスタイルを本格的に相談して決めるウエディングプロデュースで式を挙げようと思う人がもっともっと増え、こだわるポイントには惜しみなくお金を使うが、それ以外は節約するというスタイルになっていくだろう。

 私の一意見だが、招待したゲストが「きょうは良かった」と2人に伝え、笑顔で帰ってくれるのをいつも見ていると、ブライダル業界もまだまだ未来があるなと強く感じる。笑って楽しい顔を見続けることができるように自分自身も楽しく毎日を笑って過ごしている。






(上毛新聞 2011年3月27日掲載)