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太田商工会議所専務理事  松田 賢治 (桐生市新里町)



【略歴】旧笠懸村生まれ。桐生高、法政大卒。1967年に太田商工会議所に入所。事務局長、常務理事を経て2005年から現職。地域の中小企業支援に力を注ぐ。


北関東道が全線開通



◎被災者の支援まず先に



 3月11日午後2時46分、東日本大震災が発生した。

 私は運転中で、緊急地震速報をラジオで聞きスピードを落として商工会議所まで来ましたが、今まで経験したことのない揺れで、その後は報道で見たり、聞いたりした通り、地震・津波・原発事故と被災にあわれた地域の人たちの苦難は想像を絶するものであると思います。

 群馬・栃木・茨城の3県をつなぐ北関東自動車道が3月19日に全線開通しました。被災地へ向かう支援物資を運ぶ動脈として早期の開通が十分役立っていると思います。

 北関東道の全線開通により、3県の商工会議所は「3県商工会議所交流会議」を設置しました。経済、観光、文化、歴史等いろいろと交流・連携を図り、3県の発展につなげていこうと活動を計画。今年8月には群馬で交流会を開き、これからの北関東3県の発展策について話し合いをすることになっています。

 茨城には8商工会議所、栃木には9商工会議所、群馬には10商工会議所があり、この27の商工会議所の連携により北関東経済は大きく発展していくものと期待されていました。

 しかし、千年に1度と言われる東日本大震災の発生により、3県の経済界も大きな打撃を受けました。被災者そして被災地への支援が第1の使命で、3県が期待した経済、観光、文化交流は被災者への支援が十分に行われ、その目途がついた後になるのではないかと思います。全線開通の経済効果を北関東3県の経済界が感じるのは先になりましたが、今は、みんなが協力し、また助け合い、早期の復興を願うものです。

 太田商工会議所は、役員・議員そして会員の皆さまに義援金をお願いしています。また、太田市では市営・県営住宅に受け入れをしています。被災者がすぐに利用する毛布や布団、歯ブラシ等の寄贈を役員・議員にお願いしたところ、予想以上の物資が集まりました、心より感謝をしております。

 最後に、街を元気にする事業を計画していることを書かせていただきます。

 太田市には、徳川家康が祖先である源氏新田家のために建立した大光院、すなわち、上毛かるたでおなじみの「太田金山子育て呑龍」の呑龍様があります。太田商工会議所は、その呑龍様の名の「呑龍市」を5月22日から毎月第4日曜日に開催することを計画しました。

 多くの方々に北関東道を利用して来ていただき、街の活性化につなげようと商店、農協、区長さんや各種団体のみなさまと協力し準備を進めています。「呑龍市」には県内の産品や食材、食の出店も大歓迎しています。北関東道開通を「被災者への支援」と「県内経済の活性化」につなげましょう。







(上毛新聞 2011年4月6日掲載)