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◎情報ありのまま伝えて この度の東日本大震災並びに福島第1原発事故により、被害を受けられた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。 マグニチュード9という日本の観測史上最大の地震に私は上野村で遭遇しました。ちょうど、この4月から企業に受け入れする中国人技能実習生の集団教育で、同村の公共施設を回っていた時でした。あまりの揺れの大きさと長さに「ついに第2関東大震災か」と勝手に嫌な想像をしたものです。揺れも収まって、土地の長老は1923(大正12)年の関東大震災より大きかったとおっしゃっていました。 地震の大きさと場所、それから津波の発生と規模を、その後テレビで知りました。津波が家や車、漁船など、ありとあらゆるものをのみ込んで押し流していく凄惨(せいさん)な様子を画面で見ていて、今さらながら自然の猛威に畏怖したものです。 発生の翌12日は朝からテレビにかじりつき、空からの被災地の中継を見ていました。コンクリートビルの無機質な造形と家屋が跡形もなくなった地形を見て、広島や長崎の原爆投下後の写真と重なり合うような錯覚を起こし、つらくなりました。そうこうしているうちに午後になり、テレビは福島第1原発1号炉での爆発を映し出していました。原発事故です。気にしていたことが現実になりました。 テレビを通じて政府や原子力安全・保安院、そして東京電力は「問題ない」と安全性をしきりに強調していましたが、問題ないとは思えませんでした。あの1号炉建屋の厚さ1メートル近くあるコンクリートが吹っ飛んでしまった様子を見せられれば、相当の爆発力であったことは分かります。 燃料棒が露出して炉心が一時空だきになり、燃料を覆うジルコニウムが高温となって冷却水と反応、水素を発生させて空気中の酸素と激しく化学反応を起こして爆発に至ったものです。当然、相当なダメージを受けただろうことは、私のような素人でも推測できます。なぜなら本来外部に出てはならないヨウ素やセシウムといった放射性物質が高い値で外気から検知されているからです。 起きてはならないことが起きてしまい、厄介なことに今後、収束するまでには相当な年数がかかることは容易に想像がつきます。こうなったからには政府や東電は、将来ある子供たちのために、今起きている原発事故の状況について情報操作せず、つぶさにありのままを国民に伝えてほしいのです。各方面からの情報を収集して判断するのは私たち国民なのですから。 (上毛新聞 2011年4月9日掲載) |