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ザスパ草津広報担当  金子 真美(前橋市朝倉町)



【略歴】イベント企画・運営会社に勤務時、草津温泉フットボールクラブ(ザスパ草津)へ出向。主に試合運営に注力。2006年、同クラブに入社し広報を担当する。


スポーツの力



◎被災地支援へ心ひとつ



 前回記事を掲載した日は2011シーズンJリーグの開幕日。翌日の試合は残念ながら勝利の女神がほほ笑むことができませんでしたが、次のホーム開幕戦では勝利を、と準備を進めていた試合前日の3月11日、日本を揺るがす未曽有の大震災が東北地方に発生しました。

 この日の夕方、Jリーグ広報室から連絡を受け、地震の影響や交通機関の混乱が予想されるため、第2節全試合中止を発表。東北地方のチームを中心に大きな被害を受け、状況を耳にすると、とても試合開催どころではありませんでした(J2リーグは6試合が中止となりましたが、代替日を設け実施することが既に決定)。のちにザスパ草津も震災の影響を考慮し、トップチームの練習をいったん休止せざるを得ない状態になりました。

 そんな状況下ではありましたが、被災地を支援するため「今すぐ自分たちにできることはないか」と選手全員で何度も話し合い、まずは街頭募金活動や、選手愛用品のチャリティーオークションを実施しました。

 このほか、3月下旬に選手、監督、スタッフが、福島第1原発の事故で南相馬市から避難してきた子どもたちとのふれあいサッカー教室を実施するため、会場となった片品村小学校へ。当日は被災した子どもたちに元気を与えるのはもちろんのこと、多数参加した地元の子どもたちと友だちづくりのきっかけにもなればと思い、駆けつけました。

 時間とともに子どもたちから笑顔が見え始め、会場全体に元気な声が響きわたり、「逆に子どもたちから元気をもらったよ!」という選手もいました。実施にあたり、ご協力いただいた片品ムランティア(村民のボランティア)のみなさん、本当にありがとうございました。

 また、4月上旬には群馬ダイヤモンドペガサスさんと合同で「群馬のスポーツ」で復興支援活動を実施。高崎駅で両チーム選手、監督、スタッフらが街頭募金活動を行いました。募金箱を抱え、全員で呼びかけ、たくさんの方々にご協力をいただくことができました。

 今、みんなが復興への道のりを、希望とともに前を向いて進んでいることを報道を通じて目にすることが多くなりましたが、Jリーグに所属する東北出身選手・OB・関係者らと一緒に物資支援を続けている選手もいます。

 ザスパ草津では一人の人間として、社会人として、そしてプロのサッカー選手として「スポーツの力」で今後も支援活動を続けていきます。あす4月30日はいよいよ「ホーム開幕戦」。スタジアムへ応援に駆けつけてくれた方、復興に向けて頑張っているすべての方へ、笑顔と元気のプレゼントを届けたいですね。

 「WE ARE ONE~心ひとつに~」






(上毛新聞 2011年4月29日掲載)