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県防犯協会専務理事  岡 正雄(前橋市下石倉町)



【略歴】中央大法学部卒業後、1974年に拝命。伊勢崎署長、犯罪抑止対策実施本部長を経て退職。2008年4月から現職。県安全安心まちづくり推進協議会委員も務める。


女性部の防犯活動



◎特性生かし不安払拭を



 財団法人群馬県防犯協会(理事長四方浩)には、専門部会が二つある。一つは、自転車防犯登録の普及をはじめ自転車防犯対策を推進している「自転車部会(自転車量販店防犯協力会)」。もう一つが、今回紹介する「女性部」である。

 女性部は、県内の主な警察署管内の防犯ボランティア団体等を代表する女性29人で組織している。設置のねらいは、防犯・地域安全に関する調査研究や、女性を対象とする犯罪の防止について、女性や母親の目線に沿った活動を模索するなど女性の特性を生かすものである。その女性部が、調査研究の一環で昨年6月から10月までの5か月間に開催されたホリデーイン前橋、学園祭、コンサート等のイベント会場や研修会などで、「女性1000人防犯アンケート」を実施した。

 その分析結果から導かれる女性の防犯意識や今後の施策を探ってみた。

 一つ目は、犯罪発生状況の認知度であるが、知らない人(64%)が知っている人の約2倍と圧倒的に多い。それは犯罪・防犯情報の発信や広報啓発活動をさらに充実する必要があるということが分かる。その媒体は「新聞」が24%を占める。地方紙である本紙の果たしている役割は大きいと言える。

 次に地域の安全を守るために有効なことは何か。「隣近所の付き合いやコミュニティづくり」「防犯カメラ・防犯灯」「住民による自主パトロール」「挨拶・声かけ運動」の4項目で94%を占める。特に、北毛地域は、挨拶や声かけ運動が有効と答えた人が4分の1ほどを占め、地域性がうかがえる。

 また、防犯カメラの設置については、設置容認派が約90%を占めており、有効性を考えると防犯カメラの設置を促進すべきだろう。

 防犯・地域活動への参加状況では「既に参加」「参加したい」を合わせると82%となり、ほとんどの女性が防犯活動への参加意識を持っていることが分かった。ということは、防犯対策を推進しているわれわれは自信を持って、県民に参加を呼び掛け、働きかけることが得策と考えている。

 また、空き巣や忍び込み、子供に対する誘拐・連れ去りやいたずら等の犯罪被害に遭うかもしれないと、不安を感じている人が過半数を占めている。これは犯罪発生の減少傾向がここ数年は定着しているものの、まだ不安感が払ふっしょく拭しきれていないといえる。その中で「痴漢・ストーカー等の女性被害の犯罪」に対する不安を感じている人が10%と4番目の高率であることに改めて着目したい。

 このほど、そのアンケート結果が小冊子としてまとまった(ホームページに掲載)。県、市町村、警察署等の関係者が、施策を検討する際の参考にしていただけることを期待している。






(上毛新聞 2011年5月13日掲載)