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「食で高崎をGENKIにする会」事務局長  平児玉 博樹(高崎市中居町)



【略歴】明和県央高卒。英国生活を経て、飲食店や結婚式場を展開する「ティー プロダクト」の社長。任意団体「食で高崎をGENKIにする会」事務局長も務める。


見直そう群馬の“味”



◎「食」のリーダー目指せ



 食事はとても大切です。一番の目的は、生きるための栄養をとることですが、ほかにもたくさん理由があります。大きく考えると四季を感じて心を豊かにすることでしょう。これは俳句の季語にもあるように食材には旬があり、そのときに食することが一番おいしいと言われています。だんだんと多くのものが発展してきて、いつでも食べることのできるものが増えましたが、やはり旬のものにはかないません。

 群馬県にはおいしいものがたくさんあります。中でも野菜は本当に美味なものが多いです。全国の収穫量5位以内の野菜は、1位のキュウリや2位のキャベツが代表的ですが、なんと10種類以上あります。しかし、これら野菜はほとんど県外へ行ってしまうのです。地元のおいしいものを地元でもっと食べようキャンペーンを行ってみては、と感じてしまうほど残念です。

 わたしはおいしい野菜をもっともっと皆さんに食してもらいたいと思い、たくさんの農家の方々の協力によって、レストランで野菜を中心としたメニューを多く取り入れることを実践しています。少し驚いたのはこの考え方やメニューを理解してくれる人が非常に多いこと、そして、おいしい野菜を食べたいからここに来たという方がとても多いことです。

 自分の住む所に近い場所で作られたおいしいものを喜ばない人はいないのです。海がない県ですが、自然が豊かな場所(高崎市倉渕町や沼田市など)に行けばまったくクセのない川魚もいます。あまり知られていないのですが、お刺身にしてもとろけるくらいおいしいのです。

 県内のおいしいもの情報はまだまだ未開拓なのでしょう。震災にも強い土地と言われている群馬県が今後、東日本の代表的な土地として、「食」をテーマにリーダー的な存在になり、日本の食料自給率向上や生産者を助けるイベントなどに頑張っていかなければならないと感じています。

 そのためには、群馬県の食材と北陸エリア、中越エリア、東北エリアを、その中心となる高崎でマリアージュする(結びつける)ことがとても大切だと考えます。

 便利すぎる世の中を少しだけ考え直す機会が与えられた今の時代に、食事という大事なものを見直してみることを「食で高崎をGENKIにする会」では推奨して進めていきたいと思います。食を通じて地元を盛り上げる、食を通じて家族の会話を増やす、食を通じて季節を感じてもらう、食を通じてマナーを覚える―など、さまざまなことを少しずつで良いので、地道に長く継続していくことが目標です。






(上毛新聞 2011年5月23日掲載)